植物の遺伝子型間相互作用を介して生じる多様性効果の理論的検討
Project/Area Number |
20K15880
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
|
Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
佐藤 安弘 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10777949)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
|
Keywords | 頻度依存選択 / 選択勾配分析 / 遺伝的多様性 / 進化生態学 / 生態遺伝学 / QTLマッピング / 動植物間相互作用 / 生物情報学 / 遺伝統計学 |
Outline of Research at the Start |
遺伝的に多様な植物集団ほど高い生態系サービスをもたらすことが野外実験で明らかにされてきた。近年、実験技術の発展によって、多様性効果をもたらす遺伝子群の特定が進んでいる。しかし、遺伝子の多様性から集団全体の多様性効果を予測するためのモデルは未だない。本研究では、遺伝的基盤が多様性効果に与える影響を明らかにするために、個体間相互作用を組み込んだゲノムワイド関連解析(GWAS)を拡張したシミュレーションモデルを構築する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の文献調査により、当初予定していた理論は既に先行研究で精査されていた(Schneider 2008)。そこで2年目は、既存の集団遺伝学モデル(ペアワイズ相互作用モデル: Schneider 2008)と個体間の相互作用を考慮したGWAS (Sato et al. 2021)の関係性を整理した。その結果、個体間の相互作用を考慮したGWASの標的形質を適応度要素に置き換えて、近傍効果の空間範囲を変えると、頻度依存選択の回帰分析に応用できることが明らかになった。特に標的形質の遺伝継承様式が完全優性の場合には、無性生殖集団を仮定した先行研究(Sato et al. 2021)のシミュレーション結果と同様の結論が得られた。 拡張した手法を用いて、シロイヌナズナ属Arabidopsis halleri subsp. gemmiferaにおけるトライコーム二型(Sato & Kudoh 2017)およびアオモンイトトンボ属Ischnura elegansにおけるメスの色彩多型(Takahashi et al. 2014)の実データを再解析したところ、どちらの種においても有意かつ対称な負の頻度依存選択を検出することができた。このうちI. elegansでは、負の頻度依存選択の方が方向性選択よりも強く働いており、先行研究で報告された正の多様性効果(Takahashi et al. 2014)が明瞭に再現できた。これらの2年目の成果は2022年3月に開催された日本生態学会のシンポジウムにて口頭発表された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存の理論モデルとの関係性を整理して昆虫生態学者との共同研究に発展させることで、遺伝子型間相互作用と多様性効果の関係を解明するという当初の目的に向けて軌道修正することができた。計画以上とまでは言えないものの、概ね順調に進んでいると判断できるだろう。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、提案手法がGWASにも使えるかを検証するために、まずはシミュレーションで生成したデータを解析する。集団遺伝学シミュレータSLiMを用いて様々な選択圧を受けたゲノムデータを生成し、そこから更に適応度値をシミュレートして検証用の仮想データセットを得る。その後は、先行研究(Sato et al. 2021)と同様に、信号理論に基づいて原因遺伝子の正当率を評価する。 次に、実データへの応用可能性を検証するために、シロイヌナズナ野生系統の繁殖成功度の実データを解析する。シロイヌナズナ200系統を野外で栽培したGWASデータセットを研究代表者らの手で既に取得済みである。この独自に取得した野外GWASデータに提案手法を適用する。 以上の解析を最終年度内に終え、学会発表等を通じて意見を収集する。その後、論文にまとめて国際学術誌に投稿する。
|
Report
(2 results)
Research Products
(5 results)