大規模医療情報と既存承認薬を活用した新たな薬剤性腎障害予防戦略の開発
Project/Area Number |
20K16077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 47060:Clinical pharmacy-related
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
櫻田 巧 徳島大学, 病院, 薬剤師 (10846364)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 薬剤性腎障害 / 医療ビッグデータ解析 / ドラッグリポジショニング / 病態モデル解析 / 医療ビッグデータ |
Outline of Research at the Start |
抗がん剤による薬剤性腎障害のコントロールが患者のQOL向上、治療継続、予後改善のための重要な課題であると言える。しかし、現状の予防法では、完全に腎障害を抑えることはできないため、新たな予防法や予防薬の開発が求められている。本研究では、既存薬の新たな薬効を見出すドラッグリポジショニング手法を用いて、大規模医療情報データベース、創薬ツール、遺伝子発現データベースなどのデータベース解析と基礎研究、臨床研究を融合させた新規的な手法を活用して、抗がん剤による薬剤性腎障害の発症機序に立脚した予防戦略の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
シスプラチンは多くの固形がんの標準治療に用いられているが、副作用として高頻度に発現する腎障害は治療継続の妨げとなる場合があり、臨床上大きな問題となっている。一方で、シスプラチン誘発腎障害の予防に推奨される薬剤はなく、現在臨床で行われている腎障害予防法では、腎障害を完全には防ぐことができないため、新しい予防法の確立が求められている。そこで本研究では、シスプラチン誘発腎障害に対する予防薬開発を目的とした。 まず、米国FDAに報告された約1400万症例の有害事象自発報告データベース (FAERS) を解析し、シスプラチン投与による有害事象の報告症例において、腎障害の報告割合を減少させる既存医薬品を抽出し、予防薬候補薬剤として脂質異常症治療薬であるフェノフィブラートを抽出した。次にHK2細胞(ヒト近位尿細管細胞)を用いて、シスプラチン誘発細胞障害に対するフェノフィブラートの影響を検討したところ、フェノフィブラート併用によりシスプラチンによる細胞生存率の低下が有意に改善された。C57BL/6雄性マウスを用いて、シスプラチン誘発腎障害モデルを作製し、各種腎機能パラメーターおよび病理学的評価によりフェノフィブラートの腎障害に対する影響を評価した結果、フェノフィブラート併用により、シスプラチン誘発腎障害を有意に抑制することが明らかになった。 2022年度は、フェノフィブラートのシスプラチン誘発腎障害の予防作用の機序解明、及び臨床応用の可能性を検討した。フェノフィブラートのシスプラチン誘発腎障害予防作用の機序解明のための検討に関しては、実験の進捗が悪く、十分な結果が得られなかった。臨床応用の可能性を検討するため、日本のレセプトデータベースであるJMDCを用いて、フェノフィブラートの併用によるシスプラチン誘発腎障害の予防効果の検証を行い、データ抽出及び解析条件の検討まで進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、フェノフィブラートのシスプラチン誘発腎障害の予防作用の機序解明、及び臨床応用の可能性を検討した。フェノフィブラートのシスプラチン誘発腎障害予防作用の機序解明のための検討に関しては、新型コロナウイルス感染症蔓延の影響が大きく、実験の進捗が悪く、十分な結果が得られなかったため、やや遅れていると評価した。 臨床応用の可能性を検討するため、日本のレセプトデータベースであるJMDCを用いて、フェノフィブラートの併用によるシスプラチン誘発腎障害の予防効果の検証を行い、データ抽出及び解析条件の検討まで進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度までの研究結果より、脂質異常症治療薬であるフィブラート系のうち、ベザフィブラートではシスプラチン誘発腎障害予防効果は認められなかったが、フェノフィブラートはシスプラチン誘発腎障害の予防薬になる可能性が示唆された。 2023年度は、2022年度に十分に行えなかった検討を継続して行う。 フェノフィブラートのシスプラチン誘発腎障害の予防作用の機序解明、及び臨床応用の可能性を検討する。 まず、作用機序解明のため、腎障害予防作用に必要な分子の探索を行う。 また、日本のレセプトデータベースであるJMDCを用いて、フェノフィブラートの併用によるシスプラチン誘発腎障害の予防効果を検証する。
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Report
(3 results)
Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Discovery of preventive drugs for cisplatin-induced acute kidney injury using big data analysis2022
Author(s)
Kanda M, Goda M, Maegawa A, Yoshioka T, Yoshida A, Miyata K, Aizawa F, Niimura T, Hamano H, Okada N, Sakurada T, Chuma M, Yagi K, Izawa-Ishizawa Y, Yanagawa H, Zamami Y, Ishizawa K.
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Journal Title
Clinical and Translational Science
Volume: Apr 20
Issue: 7
Pages: 1664-1675
DOI
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Peer Reviewed / Open Access
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