多能性幹細胞におけるグローバルな遺伝子発現抑制機構の解明
Project/Area Number |
20K16149
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 48040:Medical biochemistry-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田夛 祐喜 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, 特別研究員 (10746382)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | シングルセルRNA-seq / 多能性幹細胞 / 分化 / 転写 / 遺伝子発現 / RNAポリメラーゼII |
Outline of Research at the Start |
申請者はシングルセルRNA-Seq解析により、多能性幹細胞の遷移過程においてグローバルな遺伝子発現抑制現象を観測した。さらに、この現象がランダム型X染色体不活性化の開始に関連する可能性を示している。しかし、この現象の発生機序や生物学的意義は依然として不明である。そこで、変動遺伝子解析により見出した候補分子に着目し、多能性幹細胞におけるグローバルな遺伝子発現抑制機構の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Wnt阻害剤を用いた培養系を使用して、ナイーブ型多能性幹細胞からプライム型のエピブラスト様幹細胞へと誘導し、シングルセルRNAシークエンシングを行い、その分化過程における遺伝子発現動態や新たに見出した多能性状態の特性を情報学的解析により明らかにしてきた。この解析により、この分化過程では、グローバルな遺伝子発現抑制が生じている細胞集団ならびに既知のナイーブ型とプライム型の中間的形質を示す新規多能性幹細胞が出現することを見出した。この研究成果を学術雑誌に投稿し、その際に得られたコメントに対応するため新たな解析を追加した。 まず、各細胞クラスターの出現順序を決定するために、近年開発されたvelocyto,scVelo,CellRankと呼ばれる3つの手法を組み合わせたRNA velocity解析を適用したところ、擬時間解析により推定した結果と同様の順序で、分化が進行したことが強く示された。グローバルな遺伝子発現抑制が生じた細胞集団において各シングルセルの挙動を調べると、分化が前進するものと後退するものが混在しており、この細胞集団は分化の転換点となっている可能性が示唆された。 さらに、他グループによって最近報告された中間型のformative型幹細胞と我々が開発したPre-primed状態を示す多能性幹細胞の発現プロファイルを比較するために、パブリックデータと我々のデータを用いた統合解析を行った。その結果、両者の多能性状態が異なることが明らかとなった。また、パブリックデータの解析から、我々が発見したグローバルな発現抑制現象とPre-primed状態を示す細胞が存在していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
見出した多能性幹細胞におけるグローバルな遺伝子発現抑制現象に関連すると思われる候補分子の機能解析のため、ゲノム編集技術によってノックアウトマウスを作製している。Cre-lox技術を用いて当該遺伝子が欠失されたアリルを持つヘテロ個体が得られたことを産仔のGenotypingにより確認しており、当初の計画通り研究が進捗していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、作製したノックアウトマウスの個体レベルの解析を行うとともに、ノックアウト胚からES細胞を樹立する予定である。このナイーブ型ES細胞をプライム型に転換させる過程で、遺伝子欠失によりどのような影響が生じるか、特にグローバルな遺伝子発現抑制現象への影響を調べ、最終的にはグローバルな発現抑制現象の生物学的意義とその分子機構を解明したいと考えている。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Single-cell transcriptomics, scRNA-Seq and C1 CAGE discovered distinct phases of pluripotency during naive-to-primed conversion in mice2020
Author(s)
Michael Bottcher, Yuhki Tada, Jonathan Moody, Masayo Kondo, Hiroki Ura, Imad Abugessaisa, Takeya Kasukawa, Chung-Chau Hon, Koji Nagao, Piero Carninci, Kuniya Abe
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Journal Title
bioRxiv
Volume: 313239
Pages: 313239-313239
DOI
Related Report
Open Access / Int'l Joint Research