ヒト副腎組織を用いた慢性ストレスの病態に関する検討
Project/Area Number |
20K16187
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 49020:Human pathology-related
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
野中 敬介 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (30867809)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | 副腎 / 慢性ストレス / テロメア / DHEA / 酸化ストレス / Lipid depletion |
Outline of Research at the Start |
慢性ストレスはうつ病、慢性疲労症候群など様々な疾患の発症と関連が指摘されており、その対策は現代社会において重要な課題である。しかし、その病態は不明な点が多い。慢性ストレス下ではコルチゾール(抗ストレスホルモン)の材料である副腎皮質細胞内コレステロールエステルが枯渇し、細胞内脂質喪失と呼ばれる組織変化を示す。本研究は肉眼ではみえない慢性ストレスを、組織学的に確認できる病理解剖例のヒト副腎組織を用いて病理形態学的・分子病理学的に解析し、突然死例(病悩期間24時間以内)と比較検討する。本研究は慢性ストレスの病態の一端を解明し、その定量化・指標化に寄与することを目的とする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
病理解剖例のヒト副腎を用いたこれまでの研究で、慢性ストレス(長期重症疾患)群とコントロール(突然死)群の皮質3層(球状層、束状層、網状層)実質細胞および髄質クロム親和性細胞のテロメア長や細胞数を測定した結果、慢性ストレス群では男女とも網状層特異的に細胞数増加およびテロメア長短縮が生じていることから、長期重症疾患のような慢性ストレス時には網状層細胞に過形成が生じていると推測された。さらに、細胞過形成やテロメア長短縮に関連して細胞老化マーカー(p16, p21など)やマウス副腎皮質の幹細胞マーカーNestinの発現についても検討したが、慢性ストレス群で有意な発現の増加は認められなかった。 令和4年度は、慢性ストレス下における副腎皮質細胞の細胞内小器官の形態変化について透過型電子顕微鏡を用いて検討したが、病理解剖例の検体を用いているため死後変化の影響(細胞内小器官の膨張など)もあり、慢性ストレス群とコントロール群とで明らかな形態の違いを見出すことが困難であった。また、各症例の生前の臨床データを詳細に検討したところ、慢性ストレス群はコントロール群に比べて血清アルブミン値が有意に低かった。網状層細胞が分泌するDHEA-Sの大部分は血中でアルブミンに結合するため、アルブミン値低下とDHEA-Sの低下の低下は相関することが知られている。本研究では慢性ストレス群の血清DHEA-S値は正常範囲もしくは正常範囲より高く、コントロール群と有意差はないため、慢性ストレス群における網状層細胞の過形成はDHEA-S値の維持に寄与していると推測された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度までの研究で副腎皮質網状層細胞の過形成は推測されていたが、令和4年度はその背景因子の検索に予想以上に時間を要したためやや遅れている。研究内容のまとめや論文作成も想定よりやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでの研究内容をまとめて、英文雑誌に投稿する予定である。また、低アルブミン血症が酸化ストレスの亢進と関連する可能性があるため、慢性ストレス下における酸化ストレスマーカーについて再度検討をする予定である。
|
Report
(3 results)
Research Products
(5 results)