Project/Area Number |
20K17112
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 53020:Cardiology-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 徹 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60844925)
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Project Period (FY) |
2022-12-19 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 拡張型心筋 / 心不全 / ジストロフィン異常 / ミトコンドリア抗体 / 慢性心不全 / ジストロフィン / 拡張型心筋症 |
Outline of Research at the Start |
ジストロフィン遺伝子変異によりジストロフィン異常症を発症する。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)保因者またはベッカー型筋ジストロフィー(BMD)では成人期に拡張型心筋症を発症し、これが予後を強く規定するが、その詳細はまだ明らかではない。本研究では、拡張型心筋症レジストリーのデータベースや病理検査・多施設レセプトデータを用いて、DMD保因者もしくはBMDによる拡張型心筋症の疫学・臨床的病態の解明を行う。DMD・BMD患者細胞由来のiPS細胞からiPS-CMを誘導し、その細胞でCa2+負荷等のストレスモデルを作成する。これによりドラッグスクリーニングを行い、心筋症に有効な薬物治療を探索する。
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Outline of Annual Research Achievements |
女性拡張型心筋症におけるジストロフィン異常症に関する、デュシェンヌ型筋ジストロフィー保因を評価するために、病理検体を用いてジストロフィン抗体による免疫染色を試みた。合計60例の女性拡張型心筋症症例の評価を行い、8例(13%)にデュシェンヌ型筋ジストロフィー保因を疑う、モザイク型パターンの染色を認めた。モザイク型パターンの染色を認める症例では、若年で、左室拡張末期径の拡大傾向を認め、心係数も低値な傾向があった。また、非モザイク型パターンと比して予後が悪い傾向にあった。2024年5月に学会報告を行う予定である。 ジストロフィン異常を疑う高CK血症を伴う拡張型心筋症の原因検索の過程で、ジストロフィン異常を伴わないものの、抗ミトコンドリアM2抗体陽性である拡張型心筋症の症例を検出した。拡張型心筋症の一部(7.1%)に抗ミトコンドリア抗体が陽性であり、ジストロフィン異常症と同様に、筋炎を合併する症例も認めた。心房細動や心房機能低下している症例が多い点が、他の拡張型心筋症と特徴を異とする。同報告は2023年に論文で報告した。 研究課題を発展させて、劇症型心筋炎に関する大規模レジストリーを作成し、疫学的報告やトロポニン値による予後の差についての論文報告を行った。 また、研究代表者が留学期間中に、既存の大規模データベースを用いてジストロフィン異常症に限らない幅広い心筋症などの病因別の心不全予後の検討を行った。疫学的に有意な予後の差を認める検出力に至らなかったために、発表は行わないこととした。 さらに、留学中の研究から着想を発展させ、心不全というより広い領域において、新規薬剤としてのSGLT2阻害薬の意義に関する論文報告を数多く行った。さらに、その研究の過程で、心不全・心筋症の予後を評価する手法として、win ratioを発展させた手法を用いることの有用性に関する論文をいくつか報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
女性拡張型筋ジストロフィーにおける、病理検体を用いたデュシェンヌ型筋ジストロフィー保因については、既存のバイオバンクを用いて評価を終え、すでに解析を終了して、結果を第10回日本心筋症研究会で提示する予定である。 一方で、男性ジストロフィン異常の一種であるベッカー型筋ジストロフィーの疫学的評価については、他の心筋症を含め疫学的評価を行った。 同研究プロジェクトを発展させた研究、留学からの経験を発展させた研究からの論文報告も数多く行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を発展させた、劇症型心筋炎に関する研究を通じて大規模レジストリーを作成することができたために、この分野における未解決課題にさらに取り組む予定である。 また、留学中の研究をさらに発展させ、心不全薬物治療に関する検討課題についても取り組む予定である。 さらに、心不全・心筋症と密接な不整脈の管理や、重症心不全における植込型補助人工心臓治療の管理における課題についても取り組む。 ベッカー型筋ジストロフィーの患者由来のinduced pluripotent stem cells(iPS)細胞から作成した心筋細胞を用いた基礎的評価については、バイオバンクの作成が必要である。基礎的評価に至ることは難しい可能性があるが、2024年度は幅広い心筋症に対しての今後の研究の礎となる、院内心筋症バイオバンクのシステム形成を目指す。
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