Project/Area Number |
20K17179
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 53030:Respiratory medicine-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松井 利憲 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (80839861)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 肺線維化 / タンバク質相互作用 / シグナル伝達 / 抗線維化薬 / 特発性肺線維症 / シグナル制御因子 / タンパク質間相互作用 / 分子機構 / 肺線維症 / 線維化 |
Outline of Research at the Start |
特発性肺線維症は、慢性進行性の不可逆な肺線維化を起して死に至る予後不良な疾患である。活性化した線維芽細胞が障害部位に遊走・集積し、筋線維芽細胞への分化することで肺線維化に関わる。肺線維化における線維芽細胞の制御機構を解明することが創薬につながるが、十分に解明されていない。本研究は、シグナル制御因子Numbが線維芽細胞においてEphB3、4受容体と直接結合しEphrin/Eph受容体シグナル経路を介して肺線維化を促進すると仮説を立て、肺線維化シグナル伝達機構を解明することを目的とする。さらNumb-EphB3/4受容体結合の特異的な阻害による新たな治療モデルを提案することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
特発性肺線維症(IPF)は、慢性進行性の不可逆な肺線維化を起して死に至る疾患である。Ephrin-B2が線維芽細胞上のEphB3、4受容体に結合しシグナルを伝達して肺の障害部位への遊走と筋線維芽細胞への分化を促し線維化を進める。シグナル制御因子Numbは、肺の線維化時に高発現している一方で、神経細胞ではEphB2受容体と結合しシグナル伝達を介して樹状突起スパインの発達を促す。 本研究では、NumbがEphB3、4に結合することでEphrin/Eph線維化シグナルを促進すると仮説を立てた。分子レベルでは、生化学的手法を用いてNumbのPTBドメインがEphB3/4の細胞質領域と結合することを示した。さらにをNumb-EphB3/4結合を特異的に阻害するdominant negative mutantとして作成した。細胞レベルでは、Numbをknock downし線維芽細胞の遊走が阻害されることを示した。Numb-PTBを用いて、Numb-EphB3/4結合が線維芽細胞の遊走に必要であることを示す。個体レベルでは、Bleomycin (BLM)による肺線維化モデルマウスの実験系を立ち上げ、アデノ随伴ウイルスまたはレンチウイルスを経気管支投与し個体内の肺組織で分子発現させる実験系を確立しつつある。Numb-PTBを肺組織で強発現させてBLMで肺の線維化を評価し、Numb-EphB3/4結合が個体レベルでの肺線維化に必要であると示す。 本研究結果においてNumbがEph2だけでなくEph3/4と結合することを示し、Numb-Ephrin/Eph受容体シグナル伝達機構が、神経細胞の樹状突起形成だけでなく、肺線維化機構を含む様々な生体活動での重要性を示唆するとともに、肺線維化抑制の新規薬剤開発の分子基盤となる可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究環境面では、2020年初頭から2022年末までの新型コロナウイルス蔓延に伴い、初期には研究環境が制限され、また期間を通じて研究代表者が附属病院呼吸器内科の病院助教であるため、COVID-19患者の治療に多大な労力を要し、さらに一時期は新型コロナウイルス治療専門病院へ出向するなど様々な時間的制約があり、実験計画の大幅な遅延を認めた。 実験計画としては、Numb-EphB3/4結合の責任領域をアミノ酸配列まで狭めることで結合阻害ペプチドを作製する予定であったが、同定できず多大な時間を要したことが一つ目に挙げられる。また、モデルマウスの実験系における薬剤やウイルスベクターの安定的な経気管支投与法の確立、さらにはウイルスベクターを用いての肺組織で外因性の分子を十分に発現させる実験系の確立に多大な時間を費やしている。
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Strategy for Future Research Activity |
分子、細胞、個体のレベルで階層的に研究を進めている。分子レベルでは、Pulldown assayを用いてNumbのPTBドメインがEphB2と同様にEphB3/4の細胞質領域と直接結合することを見出した。EphB3/4のdeletion mutantを作製し、より狭域の結合の責任領域の同定を試みたが特定できなかった。そこでNumb-PTBをNumb-EphB3/4結合を特異的に阻害するDN mutantとして作成した。細胞レベルでは、線維芽細胞株(IMR-90)を用いて細胞遊走を評価するためBoyden chamber assayの実験系を立ち上げた。Numb KDによって細胞遊走は阻害されることを示した。さらにNumb-PTB強発現で遊走が阻害されるかを評価している。個体レベルで、肺線維化におけるNumb-EphB3/4結合の意義を解析するため、BLMによる肺線維化モデルマウスの実験系を立ち上げた。さらに、EGFPを発現するAAV-DJを作成し他組織で発現することは確認している。経気管支投与し個体内の肺組織におけるEGFP分子発現を評価し、個体内の肺組織における分子発現とKnock Downをする実験系を確立する。上述したNumb-PTBを強発現させて肺線維化モデルマウスでの線維化への効果を検討する予定である。 計画当初はNumb-EphB3/4結合の責任領域をアミノ酸配列まで同定し、結合阻害ペプチドを作成し透過性を持たせて創薬化することを目指していたが、上述のため困難が予想される。ウイルスベクターを用いたdominant negative mutant強発現による線維化シグナル伝達の阻害を治療モデルとして提唱することを目指す。また、本研究のNumb-EphB3/4分子間相互作用が肺線維化に重要な役割を果たすという分子機構解明の学究的重要性は保持される。 研究環境面では、研究代表者が名古屋大学医学部附属病院から日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院へ異動となったが、名古屋大学医学部呼吸器内科石井誠教授とその研究チームと協働することで本研究の推進を維持する予定である。
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