レドックス制御因子Nrf2を活性化するグルコラファニンの糖尿病腎症改善効果の検討
Project/Area Number |
20K17271
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 53040:Nephrology-related
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
別所 瞭一 旭川医科大学, 大学病院, 医員 (10869358)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 糖尿病腎症 / Nrf2 / Nrf2活性化剤 / グルコラファニン |
Outline of Research at the Start |
近年の研究から、転写因子Nrf2(NF-E2-related factor 2)の活性化が、糖尿病腎保護効果をもたらす可能性が示唆されている。しかし、Nrf2を標的とした治療薬は未だ臨床応用されていない。そこで我々は、食品由来Nrf2活性化剤グルコラファニン(GR)に着目した。本研究の目的は、ヒト近位尿細管細胞とマウス糖尿病腎組織においてGRによる抗酸化作用、抗炎症作用、ミトコンドリア機能改善作用、抗線維化作用とその詳細な分子機構を解明することである。本研究成果により、Nrf2活性化を介したGRの糖尿病腎保護効果が明らかとなり、糖尿病腎症の創薬という臨床応用が期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、糖尿病モデルマウスとヒト近位尿細管上皮培養細胞を用い、レドックス制御因子Nrf2(NF-E2-related factor 2)を活性化するグルコラファニン(GR)の腎保護作用機構を解明することである。動物実験では、高脂肪食およびストレプトゾトシン投与により誘導した糖尿病群モデルマウスを用いた。糖尿病群と非糖尿病群、およびGR投与群(8週齢~解剖時)と非投与群を作成し、28週齢で解剖し、血液・尿試料と腎組織を採取した。GR投与群では、非投与群と比較して、体重、血圧、空腹時血糖値、HbA1c、尿中アルブミン値に有意差は認めなかった。しかし、腎組織像においては、糖尿病群においてGR投与は尿細管病変を改善した。さらに、腎皮質において、GR投与はSodium-Glucose co-Transpoer 2 (SGLT2) mRNA発現と近位尿細管刷子縁のSGLT2蛋白発現を減少させた。ヒト近位尿細管上皮培養細胞においても、GRの活性体であるスルフォラファン(SFN)は、SGLT2 mRNA発現を有意に減少させた。また、SFNはパルミチン酸により誘導された炎症性サイトカインの発現を抑制するとともに、ミトコンドリア転写因子TFAM(mitochondrial transcription factor A)を活性化した。グルコラファニンおよびスルフォラファンによるSGLT2発現抑制やTFAM発現増強を介した腎保護作用が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Nrf2欠損マウスを用いた実験も含め、動物への投与実験がおおむね終了し、SGLT2がNrf2活性化剤の治療標的である可能性を見出した。Nrf2欠損マウスの表現系解析のための追加実験を行い、今年度中の論文投稿を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
Nrf2欠損マウスの表現系解析と、Nrf2発現を減少させたヒト近位尿細管上皮培養細胞を用いた追加実験により、グルコラファニンによるSGLT2発現抑制が、Nrf2依存的か否かを検証する。さらに、SGLT2発現抑制により生じると考えられる腎内酸素代謝の変化などについて追加実験を行い、より詳細な腎保護分子機構を解明していく方針である。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)