抗インターフェロン能欠失ウイルスを用いたメタニューモウイルスの予防・治療法の研究
Project/Area Number |
20K17463
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 54030:Infectious disease medicine-related
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
田中 幸枝 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (10197486)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | ヒトメタニューモウイルス / インターフェロン / アクセサリー蛋白質 / メタニューモウイルス / パラミクソウイルス / 抗インターフェロン能 / ワクチン |
Outline of Research at the Start |
ヒトメタニューモウイルス(HMPV)のアクセサリー蛋白質M2-2は,抗インターフェロン(IFN)能を含む複数の機能を持ち,ウイルスの増殖をサポートする。M2-2を発現しない組換え体(HMPV M2-2(-))は弱毒化するため,M2-2やそれが関わる宿主因子はワクチンや治療薬の標的となる。しかし,現在のHMPV M2-2(-)は増殖に関わる重要な機能まで喪失するため十分な量のウイルスが得られない。本研究では,HMPVの抗IFN機構を解明し,抗IFN能のみを欠失したM2-2変異体を発現する組換えHMPVをデザインし,HMPVの抗IFN能の役割,抗HMPV免疫におけるIFNの重要性を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
モノネガウイルス目ニューモウイルス科に分類されるヒトメタニューモウイルス(HMPV)は、同科のヒトRSウイルスとならんで乳幼児、高齢者、易感染者に下気道感染症を起こしやすいため、有効なワクチンや治療薬の開発が望まれている。それらの標的の一つとして抗ウイルス免疫において中心的な役割を担うインターフェロン(IFN)に抵抗性(抗IFN能)を示すHMPV M2-2蛋白質の研究が進められている。しかし、現在のM2-2蛋白質欠損HMPVは抗IFN能以外の増殖に関わる機能まで喪失するため、十分な量のウイルスを得ることは難しい。 そこで本研究では、HMPVの抗IFN機構の全容を解明し、その情報をもとに抗IFN能のみを欠失した組換えウイルスをデザインすること、それによってHMPV感染における抗IFN能の役割、抗HMPV免疫におけるIFNの重要性を明らかにし、ワクチンや治療薬の開発のための情報を入手することを目的とした。これまでに、M2-2蛋白質の抗IFN機構を解析する過程で、既報の抗TLR7/9能に加えてRIG-Iを介するIFN産生シグナルを抑制する抗RIG-I能が存在することを発見した。そこで、抗TLR7/9能、抗RIG-I能の責任領域を決定し、ウイルスの増殖調節能には影響を及ぼさず抗IFN能のみを喪失する変異M2-2蛋白質をデザインした。現在、それらの変異M2-2蛋白質を発現する組換ウイルスを作製し、ウイルスの増殖を損なわずに抗IFN能のみを欠失したウイルスの回収を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、M2-2蛋白質の2つの機能(抗TLR7/9能とウイルスの増殖調節能)を分離するために、欠失および点置換変異を施した変異M2-2蛋白質を用いて、ウイルスの増殖調節能には影響がなく抗TLR7/9能のみを喪失する変異M2-2蛋白質を作製する計画であった。しかし解析過程で、抗TLR7/9能に加えて抗RIG-I能を見いだしたので、計画を変更してまず抗RIG-I能の解析を行った。2020 - 21年度に、変異M2-2蛋白質をデザインして抗RIG-I能のメカニズム、責任領域を決定した。同様に抗TLR7/9能とウイルスの増殖調節能についても評価した。その結果、ウイルスの増殖調節能には影響を及ぼさず抗IFN能のみ喪失した変異M2-2蛋白質を作製できた。作製した変異M2-2蛋白質のうちM2-1遺伝子との重複により適用できない変異があることが判明し、一部の変異体を作り直した。2022年度に、各変異M2-2蛋白質を発現する組換えウイルスを作製し、IFN非産生細胞では増殖するがIFN産生細胞では増殖が抑制される組換えウイルスを選別して目的のウイルスを回収した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、2022年度に作製した抗IFN能のみを欠失した変異M2-2蛋白質を発現する組換えウイルスを用いて、ワクチンや治療薬開発のための基盤情報を収集する。
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Report
(3 results)
Research Products
(8 results)