Project/Area Number |
20K17526
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 54040:Metabolism and endocrinology-related
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
錦戸 彩加 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (30869350)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | KCNJ5 / 原発性アルドステロン症 / 副腎 |
Outline of Research at the Start |
原発性アルドステロン症は心脳血管障害の合併が極めて高率であり、アルドステロン産生腺腫(APA)の70%はカリウムチャネルKCNJ5遺伝子の体細胞変異によるとされる。変異KCNJ5により副腎腫瘍でのアルドステロンの合成と細胞増殖、KCNJ5遺伝子発現の増加が確認されているが、その分子機序の多くは未解明である。我々は副腎特異的転写因子SF-1がKCNJ5遺伝子の転写調節を行う事を最近発見した。本研究は、アルドステロン合成や腫瘍増殖に関連するKCNJ5遺伝子の転写制御機構の解明のため、KCNJ5遺伝子制御を担うSF-1及び関連転写因子群の同定とその転写調節機構の解明を目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本邦での原発性アルドステロン症はアルドステロン産生副腎皮質腺腫(APA)が主病態となるが、詳細な腫瘍発症機構は不明のままである。病態解明の一環として、私達はカリウムチャネルであるKCNJ5遺伝子の副腎皮質細胞における体細胞病的バリアントの有無に着目して研究を進めてきた。前年度までの成果として、副腎皮質特異的転写因子Steroidogenic factor-1(SF-1)が、KCNJ5遺伝子プロモーター上のSF-1応答領域を介して遺伝子発現制御していることや、KCNJ5遺伝子が副腎皮質球状層にほぼ限局して発現していることを見出し、副腎皮質細胞由来のH295R細胞株を用いて抗SF-1抗体によるChIP(クロマチン免疫沈降)アッセイを施行し、KCNJ5遺伝子プロモーター領域のSF-1応答配列へのSF-1のrecruitmentを確認してきた。また、私達が樹立した変異KCNJ5恒常的発現H295R細胞株と、対照群としての野生型KCNJ5恒常的発現H295R細胞株からRNAを抽出し、cDNAマイクロアレイ解析を施行した。本年度はパスウェイ解析、GO解析を進め、変異株にて発現量が変動する遺伝子群を網羅的に解析したところ、近年、原発性アルドステロン症のゲノムワイド関連解析にて明らかとなったいくつかのアルドステロン分泌抑制因子の変動が確認された。以上から、変異KCNJ5遺伝子に連動して変動するアルドステロン分泌抑制因子による副腎皮質腫瘍化という新たな仮説を立て、H295R細胞株でこれら因子のノックダウンを行った細胞株の形態学的変化を観察した。また、私等が樹立した変異KCNJ5ノックインマウスは生後6月齢までの観察では、野生型マウスと比較しても変異KCNJ5ノックインマウスの副腎には肉眼的には腫瘍性変化を認めなかったため、より高齢のマウスの観察のため継代を継続した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で、変異KCNJ5恒常的発現H295R細胞株と野生型KCNJ5恒常的発現H295R細胞株から抽出したRNAを用いてのcDNAマイクロアレイ解析結果から、変異KCNJ5遺伝子によって発現量が増大した遺伝子に副腎アルドステロン合成酵素であるCYP11B2が含まれており、変異KCNJ5導入によるアルドステロン産生の増大を確認できた。さらに近年の原発性アルドステロン症のゲノムワイド関連解析の結果と比較したところ、既報で報告されたアルドステロン分泌抑制因子の変動が確認された。以上から、変異KCNJ5遺伝子に連動して変動するアルドステロン分泌抑制因子を介した副腎皮質組織腫瘍化という新たな仮説の着想にいたり、仮説を証明するための実験を開始できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
H295R細胞株において、変異KCNJ5によって誘導されたアルドステロン分泌抑制因子をノックダウンした細胞株を樹立したが、これら細胞株と、変異KCNJ5恒常的発現H295R細胞株と野生型KCNJ5恒常的発現H295R細胞株の3つの細胞株を用いて、RNA-seqを実施する。アルドステロン分泌抑制因子ノックダウン細胞株、変異KCNJ5恒常的発現H295R細胞株において同様に変動している遺伝子群を解析することで、当初の私たちの計画していた、変異KCNJ5による副腎皮質組織の腫瘍化機構の一端が明らかになることが期待される。これら腫瘍化に関連する遺伝子群の蛋白レベルでの発現解析を、細胞株より抽出したWhole cell extractを用いてウェスタンブロット解析を行う。また私達はアルドステロン産生皮質腺腫の外科的摘出検体を保存しており、これら腫瘍におけるKCNJ5遺伝子体細胞変異の有無については個々の症例で解析済みである。これら腫瘍検体を用いて上述した変動遺伝子・蛋白群の発現解析を行う。また変異KCNJ5ノックインマウスの病理学的解析を継続する。
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