Project/Area Number |
20K17825
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 55050:Anesthesiology-related
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
菅沼 拓也 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (80814011)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | ブドウ糖初期分布容量 / 心拍出量 / PEEP / ITBV / SVV / 血管収縮薬 / IDVG / 中心部細胞外液量 / 輸液負荷 |
Outline of Research at the Start |
ブドウ糖初期分布容量(Initial distribution volume of glucose)は弘前大学の石原によって考案された方法で、一定量のブドウ糖静注後早期の血中ブドウ糖濃度の推移を1分画モデルに当てはめ、算出されるブドウ糖の分布容量である。IDVGは動物出血性ショックモデルでは心拍出量と良好な相関関係を示すが、体液量を変化させずに薬物学的に心機能のみを変化させてもIDVGは変化しないなど、静的な心臓前負荷の評価法として報告されている。しかしながら、IDVGとStressed Volumeの関係は不明であり、輸液戦略における新しい指標となり得ることが示唆され、本研究のテーマとした。
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Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は「各種血管収縮薬のIDVGへの影響の検討」に関する実験を行った。6頭のヨークシャー豚をケタミンの筋注により麻酔を導入し、局所麻酔薬も併用し気管切開術を施行、人工呼吸管理とした。その後、右大腿動脈にPiCCO カテーテルを挿入し、心拍出量、中心静脈圧(CVP)、胸郭内血液量(ITBV)、一回拍出量変化率(SVV)、直接動脈圧などを測定。血管収縮薬としてはノルアドレナリン、バゾプレッシンを用い、コントロールの収縮期血圧から30%増加する量を持続静注した。結果は、ノルアドレナリン使用時には心拍出量は有意に増加、バソプレッシン使用時には心拍出量は有意に低下した。IDVGも同様にノルアドレナリン使用時に増加、バソプレッシン使用時に低下し、心拍出量とIDVGの間には良好な正の相関(r=0.741)を認めた。このことから、これまでの我々の脱血輸液負荷、敗血症実験の結果と同様、IDVGには心臓前負荷の指標となり得る可能性が示唆された。 2022年度は胸腔内圧の変化により静脈還流量を変化させた時にIDVGや心臓前負荷の指標がどのように変化するかを動物実験的に検討した。6頭のヨークシャー豚を麻酔を導入し、局所麻酔薬も併用し気管切開術を施行、人工呼吸管理とした。その後、CO、CVP、ITBV、SVV、直接動脈圧などを測定した。PEEPは0→10→0→15→0cmH2Oと変化させて上記パラメーターを測定した。その結果は、0cmH2O、15cmH2OのPEEPでCO、ITBVは有意に減少し、SVVは15cmH2OのPEEP有意に上昇した。また、これらの変化はPEEPを0に戻すと元の数値レベルに戻った。しかし、IDVGはこれらのPEEP変化で有意な変化を示さなかった。すなわち、High PEEPなどの閉塞性ショック時でもIDVG測定は中心部細胞外液量測定法として意義があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は研究者が遠方の市中病院での勤務だったため、主に協力者によって実験が行われた。また、実験を開始するに当たって、これまではヨークシャー豚を使用していたが、豚を購入していた養豚所が事業を撤退してしまったため、別の業者から豚を購入するルートの変更を余儀なくされた。また、豚の種類も三元豚に変更となった。幸い豚の種類はへ変更となったが実験は同様の手順できると判明し施行した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は前年の結果を受けて豚心タンポナーデモデルを作成し、心タンポナーデによる閉塞性ショックのIDVGへ及ぼす影響を検討した。豚をケタミンの筋注により麻酔を導入し、人工呼吸管理とした。右大腿動脈にPiCCOカテーテルを挿入し、心拍出量(CO)、CVP、ITBV、SVV、直接動脈圧、PPVなどを測定した。IDVG の測定は、2g のブドウ糖を投与し、投与0 分、3、4、5、7 分に2mlずつ採血し、1コンパートメントモデルに当てはめ測定した。心タンポナーデは局所麻酔を併用し、剣状突起下の上腹部を切開、横隔膜の帽状腱膜を剖出小切開、心嚢露出後心膜に穴を開け、最大径46mmの大動脈ステントグラフト用バルーンを右心背側に挿入し作成した。IDVGの測定はコントロール、心タンポナーデ作成後、解除後、心タンポナーデ後輸液負荷、その解除後の5点で行った。2024.5現在まだ鋭意実験の継続中であり、施行頭数は4頭まで来た。予定の頭数である6頭にまだ達していないため、敢えて統計学的検討はしていないが、CVPの上昇とCOの低下、HRの上昇、血圧の低下という閉塞性ショック状態となっていることが示唆された。そして、この状態で、心臓前負荷を示すと考えられる、ITBV、SVV、IDVG/kgの変化は、ITBVは心拍出量と同様の変化、SVVはむしろCOの変化と逆で心タンポナーデで上昇、volume負荷時でSVV低下が認められた。一方、IDVG/Kgは心タンポナーデ状態では大きな変化を示さず、心タンポナーデの有無にかかわらずvolume負荷時に大きく増加していることが示唆された。Hbはvolume負荷で大きく低下していた。予定頭数の実験の完遂後に統計学的検討を行い、PEEP実験の結果と合わせて、結論を出したいと考えている。
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