Project/Area Number |
20K18569
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 57040:Regenerative dentistry and dental engineering-related
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Hospital Organization Tokyo Metropolitan Komagome Hospital |
Principal Investigator |
池浦 一裕 地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立駒込病院(臨床研究室), 歯科口腔外科, 医員 (40784088)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 唾液腺再生 / 口腔乾燥 / 細胞株 / 分化誘導能 / 筋上皮細胞 / 腺房細胞 / 導管上皮基底細胞 / 唾液 |
Outline of Research at the Start |
失われた唾液腺機能を回復させる原因療法は現段階では開発されておらず、実際の臨床でも含嗽剤や保湿剤で口腔内表面を潤す方法や唾液腺マッサージや温罨法といった理学療法などの対症療法が主軸となっているが、生体本来の唾液が作り出す口腔内環境を取り戻すには程遠い現状がある。そのため、口腔乾燥症の新たな治療法開発の一方法として唾液腺組織再生を目指した基礎研究は歯科医療分野における急務となっている。そこで申請者は野生型マウスから腫瘍細胞や遺伝子改変技術を用いずに唾液腺由来の細胞株を樹立し、得られた導管周囲の増殖能が高い細胞の特性解析を行うことで腺組織機能再生につながる病態生理に迫ることができると考えた。
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Outline of Annual Research Achievements |
加齢や放射線治療による唾液腺機能低下に伴う口腔乾燥症は患者の生活の質を著しく低下させる。そのため失われた唾液腺組織再生を試みる研究は多数報告されており、これらの研究ではヒト・ラットなどから樹立した唾液腺細胞株を用いているが、それらは腫瘍細胞由来・遺伝子改変動物由来であり、マウスにおける自然発生的な細胞株の報告はない。また唾液腺細胞を初代培養の表現型を保ちながら長期間培養することは困難とされ、現在までごく短期間の培養報告があるのみである。そこで本研究では唾液腺組織再生に有用な細胞源の確保と特性解析、さらに腺組織分泌機能評価が可能なシステム構築を行うことを目的とする。接着培養系では導管上皮基底細胞と同様の表現型を呈する細胞が得られたが、これらは低カルシウム、無血清、コレラトキシン、0.1%ゼラチンコートを用いた培養を行 い分化を抑制した結果得られた細胞群である。そのためカルシウムや血清を用いた刺激を加えることで分化型細胞の特性を知ることが可能であると予想された。また三次元培養法を用いることで腺組織の再構築が可能ではないかと考えられた。そこで以下の2項目の検討を行った。 (1)血清、カルシウム濃度勾配による刺激を加えることで筋上皮細胞誘導の可能性を検討した。その結果、1mMカルシウムおよび5%血清、さらに5ng/mlのTGF-β1添加による刺激を加えることで筋上皮細胞マーカーであるα-SMA陽性細胞が得られることが確認できたが、安定供給が可能な培地の検討が引き続きの検証課題である。 (2)コラーゲンゲルを用いた三次元培養法により腺房構造の誘導を検討した。その結果、三次元培養を用いた細胞塊(Salivary Sphere)および管腔構造細胞塊(Cyst)の作製に成功した。腺組織分泌機能評価のアッセイ系確立に向けた細胞塊の作成と評価方法の検証が引き続きの課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症蔓延に伴う物流遅延、研究施設での勤務体制や研究施設使用の制限などに伴い進捗状況はやや遅れている
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Strategy for Future Research Activity |
導管上皮基底細胞群、筋上皮様細胞、腺房様細胞からの唾液腺組織再構成について筋上皮様細胞については、血清、カルシウム濃度勾配による刺激を加えることで筋上皮細胞誘導の可能性を検討した。その結果、1mMカルシウムおよび5%血清、さらに5ng/mlのTGF-β1添加による刺激を加えることで筋上皮細胞マーカーであるα-SMA陽性細胞が得られることが確認できたが、安定供給が可能な培地の検討が引き続きの検証課題である。腺房様細胞については、コラーゲンゲルを用いた三次元培養法では細胞に対して全面が足場となるため細胞塊を形成することにおいては有用であるが、分泌評価を行うには適さない形態となる。そのため2%~10%コラーゲン懸濁培養液を作成し細胞極性を利用することで管腔構造を誘導する方法を引き続き応用する。しかし、コラーゲンゲルを最終的に完全に除去することが困難なため、磁性粒子を利用した三次元培養を検討している。さらに腺房細胞マーカーであるAQP5の発現と局在を確認する。 上記と並行して細胞の安全性を確認するための核型解析、既報の幹細胞、前駆細胞マーカーを発現する様な細胞群であるかの確認を行っていくとともに唾液腺における幹細胞同定を目指したいと考えている。
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