歯周病は骨格筋合成・収縮を阻害するか-歯周病誘発ラットでの運動介入研究
Project/Area Number |
20K18822
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 57080:Social dentistry-related
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
林 海里 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (30803192)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 歯周病 / 骨格筋 / トレッドミル / P.gingivalis / 筋衛星細胞 / PGC1-α / 超音波破砕抗原 / MyoD / 筋合成 / 筋収縮 / 運動 / ラット |
Outline of Research at the Start |
サルコペニアやロコモティブシンドローム予防のため、効率的な筋合成、筋活動の獲得は超高齢社会における重要テーマである。 一方、歯周病罹患者では、歯周病原細菌が血流を介し全身に巡るため、様々な疾患を引き起こすリスクが高まることが報告されている。これらの報告から歯周病は全身の骨格筋合成や筋収縮を阻害する可能性が想像されるが、直接関連性を評価した報告は存在しない。 そこで本研究では、動物実験により歯周病と筋合成・筋収縮能の関連性を検討する。歯周病誘発ラットに対してトレッドミルを用いた運動介入を行い、筋合成や収縮力を評価することで、歯周病が骨格筋合成・骨格筋活動を阻害するという仮説の立証を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、サルコペニアやロコモティブシンドロームは健康寿命低下の要因であるとわれており、その予防策の立案の前段階として、骨格筋の合成や活動に悪影響を与える因子を把握することは、超高齢社会における重要なテーマである。一方、歯周病罹患に大きな影響を与える細菌として有名なP.gingivalisは、歯周ポケット内から血流に入り、抗原を全身に巡らすことで多くの全身疾患と関連することや、全身で炎症を誘発することが報告されている。炎症は骨格筋量や筋収縮能を低下させるという報告の存在から、P.gingivalisは運動後の筋合成などの応答反応を低下させる可能性が想像されるが、今まで検討はされていない。そこで今研究ではIn vivoの実験で「P.gingivalisの全身への波及が運動後の骨格筋合成に与える影響」の検証を行っている。 2022年度は、2021年度までに行った研究の結果(P.gingivalis投与群において、筋衛星細胞の分化の遅延を示唆する所見であるPax7-/MyoD+の発現量の低下、持久力の低下を示唆する所見である走行可能時間数値の低下)を更に深掘りした検討を行った。具体的には持久力の低下にフォーカスして、ミトコンドリア合成時に重要な働きをする骨格筋中の「PGC-1α」の運動一日後における発現量をP.gingivalis投与・非投与で比較・検討した。結果、P.gingivalis投与群においてPGC-α発現量が有意に低値となり、P.gingivalisの全身への波及はミトコンドリア合成にも影響を与え、運動後の持久力獲得を阻害する可能性が示唆された。 2023年度は今までの結果をまとめながら、さらに必要な評価を追加し、最終的な成果の報告を行いたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
P.gingivalis投与が運動後の骨格筋応答に与える影響について検討し、骨格筋合成に関する項目として衛星細胞の評価から骨格筋合成の遅延の可能性を、持久力に関連する項目として走行可能時間の低下と骨格筋PGC-1αの発現量の低下から、持久力獲得阻害の可能性を示すことが出来た。これらの成果について2022年度は学会発表と、一部を論文発表まで行うことが出来た。以上は当初想定していた進度の程度とおおむね同じであるので、現在の進捗状況は「おおむね順調に進展している」と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度はこれまでの研究結果を更に補強するべき項目の評価や、メカニズムをこうさつできるような項目の評価を考えている。具体的には、P.gingivalisを投与することによって、IL-6やTNF-αといった炎症サイトカインが全身血中で増加することの確認を、ELISA法を用いて確認したいと考えている。そして、2023年度は研究最終年度のため、これまでに得られた結果をまとめ、最終的な研究成果を報告したいと考えている。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)