Project/Area Number |
20K19274
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 58080:Gerontological nursing and community health nursing-related
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
蔵本 綾 香川大学, 医学部, 助教 (20849640)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2020: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 統合失調症 / Sense of Coherence / 人生経験 / パーソナルリカバリー / セルフスティグマ / 地域生活支援 / 地域生活 / SOC / ストレス |
Outline of Research at the Start |
ストレス脆弱性の指摘されている統合失調症者の地域生活において、ストレスへの対処力を高めることは必須である。Sense of Coherence(SOC:首尾一貫感覚)は、ストレス対処力、健康生成力ともされ、統合失調症者のストレス対処に適した概念と考えられる。 SOCは人生経験によって形成され、その経験が良質なものであれば向上するとされるが、その詳細は未解明である。地域で生活する統合失調症者を対象に、これまでの生活や経験に関するインタビュー調査を行い、得られたデータをSOC概念に基づいて分析する。SOC形成に影響を及ぼす要因を明らかにすることで、SOC向上プログラム開発のための基礎資料を得る。
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Outline of Annual Research Achievements |
地域で生活する統合失調症者の人生経験から捉えるSense of Coherence(以下SOC)に関するインタビューデータを分析した。なお、インタビューは新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)流行前の2020年2~3月に実施したものである。当事者を対象とした調査のためオンライン面談への変更も難しく中断が長期に渡ったため、流行前に取得したデータで分析することとした。 A県内の精神保健福祉施設(地域活動支援センターおよび就労継続支援B型事業所)を利用しながら、地域での生活を1年以上継続できている40~60歳代の統合失調症者6名を対象にインタビューを行った。許可を得て録音し、得られたインタビューデータを逐語録に起こした後、SOCを構成する「把握可能感」「処理可能感」「有意味感」を表している部分を抜き出し、意味の類似点と相違点を比較し、カテゴリー化した。各カテゴリーを《》で示す。 把握可能感では《不透明な先行き》《疾患・症状の経過の見通し》《生活が成り立っている実感》の3カテゴリーが生成された。処理可能感では《事業所の活動を基軸とした生活の組み立て》《疾患・症状との付き合い方の模索》《試行錯誤により築いた人間関係》《生活スタイルの再構築》《学業・就職に関する心残りと困りごと》の5カテゴリーが生成された。有意味感では《統合失調症に捉われない生活》《「普通の人」「普通の生活」への憧れ》の2カテゴリーが生成された。 SOCの3つの感覚のうち、有意味感が最も重要とされる。対象者からは統合失調症を発症したことで諦めたものについて多く語られたが、統合失調症を発症したことで得たものも語られた。統合失調症の発症に意味を見出すことは難しく、長い経過で疾患を受け止めてはいてもどこかで諦めきれない気持ちを持ち続けていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた地域で生活する統合失調症者へのインタビューはCOVID-19流行に伴い、中断せざるを得なかった。インタビュー内容が当事者の生活に関連する内容のため、中断期間が長期に及んだこと、流行前後で生活が大きく変わったことから、インタビュー再開が可能となっても、流行前に取得していたデータと合わせての分析は困難であると判断した。結果、6名のデータでの分析となった。 また、施設への立ち入り制限も続いていたため、精神科デイケアを利用しながら地域で生活している統合失調症者を対象とした郵送によるアンケート調査を実施した。セルフスティグマとSOCおよびパーソナルリカバリーの関連を検討したものである。 当初の計画からは変更とはなったが、概ね順調に進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
統合失調症当事者へのインタビューおよびアンケート調査の2つの研究を通して、統合失調症を持つ方の地域生活支援において、「就労」の重要性がより明確となった。統合失調症者も「精神障害者」として一括りにされることが多いが、発症までに就労経験を有することの多い気分障害等とは支援方法も異なる。勤労者のSOCに関する研究はこれまでにも多数行われている。今後は統合失調症者のSOCに着目した就労支援に関する研究が必要である。
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