Project/Area Number |
20K19354
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 59010:Rehabilitation science-related
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Research Institution | Kagoshima University (2023) Niigata University of Health and Welfare (2020-2022) |
Principal Investigator |
北上 守俊 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 作業療法士 (80769729)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 高次脳機能障害 / 就労支援 / 科学的根拠 / 職業リハビリテーション / 医学的リハビリテーション / 職場復帰 / 効果検証 / プログラム / プログラム開発 / エビデンス / 障害者雇用 |
Outline of Research at the Start |
【背景】今後益々日本の労働力人口が減少していく中で,障害者雇用の促進は重要な課題である.これまで,高次脳機能障害に対する就労支援プログラムの開発は国内外において皆無の状況である. 【目的】本研究では,高次脳機能障害者に対する科学的根拠に基づいた就労支援プログラムを開発し,障害者雇用の促進を図ることを目的とする. 【展開】Ⅰ.高次脳機能障害者の職業能力を定量化する評価ツールを開発する.Ⅱ.認知行動療法等の効果は示されているが,それらの効果が就労につながるか未解決のため,その点について調べる. 本研究の知見は,若年性認知症や神経難病等,脳機能に問題を抱えた方の就労の手助けになることも期待される.
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Outline of Annual Research Achievements |
高次脳機能障害者への科学的根拠に基づいた就労支援プログラムは開発されていない.高次脳機能障害者は症状が多様であり,体系的な支援が難しいとされている.障害種別の就業率は,発達障害や知的障害は60%を超えているが,高次脳機能障害は約45%と他の障害に比し低い現状にある.高次脳機能障害者に対する認知行動療法やパーソナルコンピューターを活用した認知機能訓練,ピアサポートグループ,ワークサンプルの活用に関する効果は示されているが,それらの成果が就労につながっているかは未解決の課題である. 本研究では,高次脳機能障害者に対する科学的根拠に基づいた就労支援プログラムを開発することを目的とした. 10名の高次脳機能障害者で就労(復職は除く)を目指している方にパーソナルコンピューターを活用した認知機能訓練とワークサンプルを活用した職業リハビリテーションを併用したプログラムを提供した.対象者の基本属性は,男性9名,女性1名,年齢は平均41.7±8.1歳,診断名は脳梗塞4名,脳出血1名,頭部外傷2名,くも膜下出血1名,びまん性軸索損傷1名,低酸素脳症1名である.認知機能訓練は高次脳機能バランサー(製品:レデックス株式会社),ワークサンプルはワークサンプル幕張版(製品:障害者職業総合センター)を活用した.アウトカム指標は,神経心理学的検査と就労(再就職及び就労継続支援A型)の可否とした.プログラムの提供時間は,個別訓練として週1回40分実施し,課題難易度と課題内容は対象者の能力に合わせて設定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象者10名に対し,初期評価と最終評価として神経心理学的検査(遂行機能障害症候群の行動評価(以下,BADS),標準言語性対連合学習検査(以下,S- PA),かな拾いテスト,Trail Making Test日本版(以下,TMT-J,ウェクスラー成人知能検査(以下,WAIS-Ⅲ))を実施した.初期評価実施後,約1年7ヵ月間認知機能訓練(高次脳機能バランサー)と職業リハビリテーション(ワークサンプル幕張版)を併用して実施した.対象者10名中,8名が就労(再就職5名、就労継続支援A型3名)に至った(再就職率80%). 認知機能訓練(高次脳機能バランサー)の平均実施頻度は30.2±16.7回,職業訓練(ワークサンプル幕張版)の平均実施頻度はピッキング20.4±12.3回,作業日報集計37.3±12.8回,物品請求書作成31.2±14.4回,OA作業(検索修正)32.3±14.1回であった. 初期評価と最終評価の2群間の神経心理学的検査結果は,BADS(p<0.01,効果量(d=1.86)),S-PA(有関係対語p<0.05,効果量(d)=1.84),無関係対語p<0.01,効果量(d)=3.12),かな拾いテスト((無意味綴りp<0.05,効果量(d)=1.69),物語p<0.01,効果量(d)=2.61),TMT-J(Part A p<0.05(効果量(r)=0.75),Part B p<0.01,効果量(d)=2.35),WAIS-Ⅲ(言語性IQ p<0.05(効果量d)=2.69,動作性IQ p<0.05,効果量(r)=0.86,全検査IQ p<0.01,効果量(d)=1.88)の検査において有意差を認め,成績の向上が確認された.
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Strategy for Future Research Activity |
就労を目指す高次脳機能障害者に対して医学的リハビリテーション(パーソナルコンピューターを活用した認知機能訓練),職業リハビリテーション(ワークサンプル)を併用してプログラム提供は終了した.今後,コントロール群のデータ整理や分析を行い,今回のプログラムの効果について検証する予定である.当初予定していた心理・社会的リハビリテーション(ピアサポートグループや認知行動療法)に関しては,小グループでの実施を想定していたが新型コロナウィルス感染症の影響により実施が困難であった.心理・社会的リハビリテーション(ピアサポートグループや認知行動療法)を含めたプログラムの提供は、本研究の今後の課題をする方向である.したがって、今回は医学的リハビリテーションと職業リハビリテーションを併用したプログラムの成果を主として検証し,心理・社会的リハビリテーションを含めたプログラムの効果検証については今後の発展的な研究課題として進めていく予定である.
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