関節軟骨の廃用症候群における運動療法の確立と変形性関節症の発症に及ぼす影響
Project/Area Number |
20K19444
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 59010:Rehabilitation science-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高橋 郁文 金沢大学, 附属病院, 理学療法士 (30743835)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 関節軟骨 / 廃用性萎縮 / ラット / 再荷重 / 変形性関節症 / 変形性膝関節症 / 廃用症候群 |
Outline of Research at the Start |
非荷重環境において関節軟骨に廃用性の組織学的変化が生じることが報告された。この廃用性変化の生じた関節軟骨は、運動負荷によって回復する可能性がある一方で、正常関節軟骨と比較して変形性関節症(以下OA)を発症しやすいことが報告されている。しかしながら、運動負荷によって実際に回復するか否か、そして正常関節軟骨と比較したOA進行過程や進行速度の違いについては明らかにされていない。以上より、申請研究の目的は、ラット後肢非荷重モデルを用いて、関節軟骨の廃用症候群に対する再荷重および運動療法の効果、および関節軟骨の廃用症候群がOA発症および進行に及ぼす影響、以上の2点を組織学的に明らかにすることである。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究目的は、ラット後肢懸垂モデルを用いて脛骨軟骨に廃用性萎縮を惹起し、その後再荷重を行うことで廃用性軟骨萎縮の回復の可能性を組織学的および免疫組織化学的に明らかにすることであった。 対象として9週齢のWistar系雄性ラット30匹を使用し、実験動物は対照群、後肢懸垂群、再荷重群に分けた。対照群は4、6、8週間の通常飼育を行い、後肢懸垂群は4週間後肢懸垂下で飼育を行った。再荷重群は4週間の後肢懸垂の後、2週間および4週間の再荷重を行った。後肢懸垂はワイヤーによる尾部懸垂方法を採用した。飼育期間後、両膝関節の前額面標本を作成し、一般染色としてヘマトキシリン・エオジン染色およびトルイジンブルー染色を、免疫組織化学的染色としてⅡ型コラーゲン、アグリカン、MMP13、ADAMTS5に対する染色を行った。その後、光学顕微鏡を用いて、軟骨に対する評価として軟骨厚、基質染色性、軟骨細胞密度、層割合を計測した。また骨に対する評価として骨量と軟骨下骨厚を計測した。 4週間の後肢懸垂によって、軟骨厚および基質染色性、骨量および軟骨下骨厚の有意な低下を認めた。再荷重2週によって、軟骨厚、基質染色性は対照群と同等まで回復し、細胞密度は再荷重によって有意な増加を認めた。層割合では、非荷重によって非石灰化層は有意に減少し、石灰化層は有意に増加したが、4週間の再荷重によって対照群と同等まで回復した。骨においては、対照群と同等まで回復するために骨量は2週間、軟骨下骨厚は4週間を必要とした。免疫組織化学的分析では、Ⅱ型コラーゲンは実験期間を通じて有意な変化を認めなかったが、アグリカンは実験期間を通じて有意に増加した。またMMP13およびADAMTS5は非荷重によって有意に増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、関節軟骨の廃用性萎縮と再荷重に関する組織学的解析が終了した。その結果は国際誌へ論文投稿し、アクセプトされた。またその内容を国内学会で発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の結果より、非荷重によって生じた関節軟骨の廃用性萎縮は再荷重によって回復することが明らかとなった。しかし、その詳細なメカニズムは不明な部分が多く、またヒトとげっ歯類では関節軟骨の解剖学的特徴は異なるため、廃用性軟骨萎縮の回復能をヒトに応用するためにはさらなる検討を必要とする。今後は、免荷中における間欠的荷重の有効性と再荷重中における積極的な運動療法の回復促進効果を明らかにしていくことで、関節軟骨の廃用性萎縮に関する研究は、学術的・臨床的に有益な知見が得られる可能性が高い。したがって、当初の研究計画通り、これまでの研究基盤の上に、今年度の研究をさらに推進させる。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)