拡散結合系のカオスのレザバーコンピューターへの応用と小脳顆粒細胞層の計算論の構築
Project/Area Number |
20K19882
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 61040:Soft computing-related
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Research Institution | Juntendo University (2023) University of Tsukuba (2020-2022) |
Principal Investigator |
徳田 慶太 順天堂大学, 健康データサイエンス学部, 准教授 (50762176)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | カオス / ニューラルネットワーク / レザバー計算 / 小脳 / ギャップジャンクション / レザバーコンピューティング |
Outline of Research at the Start |
小脳顆粒細胞層ではギャップジャンクションにより近傍の抑制性細胞同士が密に結合し,発火パターンにも強い影響を与えているが,それがどのように情報処理に寄与しているかは明らかでない.本研究では,ギャップジャンクションが時空カオスを引き起こし,顆粒細胞層における効率的な入力の情報表現を可能にしているという,計算論的な仮説を検証する.そのために,小脳をレザバーコンピューターとして捉え,レザバーを構成する顆粒細胞層にギャップジャンクションを導入することがモデルの精度に寄与するかどうかを検討する.
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Outline of Annual Research Achievements |
小脳顆粒細胞層の数理モデルにおいて、ギャップジャンクション(GJ)導入の影響を検討したところ、GJが系にカオスを引き起こし、系のダイナミクスが幅の広い周波数帯の活動を持ち、出力できるパターンの複雑性が上がること、系への入力からの時間に特異的な状態を取るようになることがわかった。特に、系のリアプノフ次元の高さと、出力できるパターンにおける目標軌道との差分の小ささが非常に高い相関を持つことを明確に示すことができたのが、本研究の大きな貢献であったと考えられる。一方で、系のカオス性が強い場合には、出力できるパターンの複雑性が上がるが、同時に系の初期値依存性が強くなるため、汎化能力とのトレードオフがあるという重要な観点が研究を通して明らかになった。これを解決するために、神経系においては、下流の系への入力の振幅に時間的周期性を持たせることにより、システムを引き込んでいるのではないかという着想を得た。これは、神経系における、新しい計算原理を示唆している可能性があると考えられ、この現象について引き続き研究を推進した。数理モデルを構成するニューロンの固有振動数に近い周期外力を加えると、異なる初期値にあるシステムの状態が外力下で同一の状態に収束する過程や、異なる入力パターンに対して異なる出力を得られるかどうかなどの条件の検討を行なった。周期外力によって実現される軌道のリアプノフスペクトルとリアプノフベクトル、そしてネットワーク構造と軌道不安定性を結ぶmaster stability関数などを具体的に計算することができた。顆粒細胞層におけるギャップジャンクションが時空カオスを引き起こし、それが入力の適切な情報表現を可能にしているという、計算論的な仮説を提唱し、検証するという研究立案時の目的を達成するとともに、新たな計算原理について着想を得て、今後の研究の発展につなげることができた。
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Report
(4 results)
Research Products
(6 results)