Project/Area Number |
20K20058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 健介 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部・教育部, 特任講師 (00435538)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | レント / レントシーキング / 石油ガス / タイ / アセアン / レント管理 / ミャンマー / 東南アジア / 天然資源 / 資源レント / 独占レント / エネルギー資源 / 独占 / 石油化学産業 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、①タイの天然ガス関連産業に着目して、仮説的因果メカニズム「天然資源レントを原資として、独占を目的としたレント・シーキングが生じる。」を検証し、②その仮説が成立する為のレント・シーキング過程における「条件」を析出したうえで、③タイを事例にして得た「条件」の汎用性について示唆を得ることである。①の検証のため、天然資源レントの蓄積から独占レントの発生までを過程追跡する。②の条件析出のため、既存研究で仮提示に止まる論点を、本事例に即して批判的に考察・洗練する。③の汎用性について、他国との比較を行い示唆導出する。これらを通じて、天然資源レントをめぐる、より汎用的な議論の端緒を見出したい。
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Outline of Annual Research Achievements |
経済パフォーマンスに資する形で資源レントを管理するための条件について、2023年度はタイを中心としてインドネシアやマレーシアなども含めてアセアン各国の事例を比較研究した。この際、現在のみのスナップショットではなく、これまでの石油ガス産業の変容について主たる出来事に着目して各国ごとに過程追跡を行った。 その結果、資源公社と官僚機構の権力関係に着目するに至った。この権力関係は各国ごとに多様であり、権力に関する相対的優位は資源公社にあることもあれば、官僚機構にあることもある。また同一国であっても、政治体制の変容その他の外的要因によって、相対的な権力関係が変容することがありうる。 ここで重要なのは、権力の所在ではないように思われる。権力の所在に関わらず、相対的な権力関係が明白で安定していることが、資源レントに対するレントシーキングの社会的コストを抑制しているように思われる。逆に言えば、この権力関係が明白でないときや、アクター間で権力が拮抗しているときは、レントシーキングの社会的コストが増大する傾向にあると考えられる。 1970年代以降の公共選択論で唱えられてきた通り、レントシーキングの社会的コストは経済パフォーマンスを著しく害する。この社会的コストが上記のメカニズムで抑制されるとき、一定程度の経済パフォーマンスを担保した形でレントが管理されうる可能性がある。そしてこの点に着目することで、これまでのASEANの国々の経験について、石油ガス資源からのレントと経済パフォーマンスの関係が一定程度説明できると思われる。 このように仮説的な条件について着想を得つつあるが、最終年度となる2024年度はこの仮説について各国ごとに検討していくこととしたい。具体的にはタイを中心としてアセアン各国において、仮説に基づき半構造化インタビューを繰り返し、上記の仮説的条件について、一定の検証を試みることとしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
仮説については導出しつつあるが、それを実証するためのフィールドワークについてはやや遅れている。2019年以降の新型コロナウィルスによる海外渡航の困難と、2021年のミャンマーにおける政変がその主な事由である。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」で触れたように仮説的な条件については導出しつつある。この仮説について、タイを中心としたアセアン各国で半構造化インタビューを繰り返して検証することを通じて、更なる検討課題を見出すことが最終年度の目的である。
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