Project/Area Number |
20K20127
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 90010:Design-related
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Research Institution | Kobe University (2023) Kyushu Women's University (2020-2021) |
Principal Investigator |
福島 宙輝 神戸大学, 大学教育推進機構, 特命助教 (10813769)
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Project Period (FY) |
2022-12-19 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 美学 / 味覚 / 嗅覚 / 時間 / 空間 / 時間・空間 / 香り / 日本酒 / 鑑賞 / 美的用語 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,味覚・嗅覚に美学上の立ち位置を与えることを目的とする. 味覚や嗅覚は伝統的に美的質を持たないとされてきた.しかし味覚・嗅覚独自の鑑賞方法論を提起することで,味嗅覚の美的体験を記述し分析する「味覚の分析美学」は可能になるではないだろうか. 本研究では,①鑑賞能力に関する文献調査,②料理の美的鑑賞方法の開発,③嗜好品飲料の非言語表象生成手法開発という3つの研究課題を通して,味覚・嗅覚の美的体験の記述方法および味覚鑑賞文の分析方法を解明する. 本研究は,美学領域に認知科学の知見を応用的に展開することによって,味覚の美学という新領域をもたらすものである.
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Outline of Annual Research Achievements |
味や香りの主観的な経験の重層的な記述によって味覚・嗅覚の美学を開拓することが本研究の目的であり、現時点では主に下記2点の研究成果を上げている。 ①味と香りの美的表現を、百科事典的意味論に基づいて定義する方法論、および②味と香りの美的な経験を構成する現象学的な時間性の類型論である。 ①については、論文2報で,辞書的な意味ではなく百科事典的意味論に立ち,用言(形容詞・形容動詞・動詞)の動態的な意味をコーパス内の共起関係から(usage based approach)定義する手法を提案した.この結果は味覚や嗅覚の観賞においても「美的用語」が成立していることを示した点で美学研究に貢献した.一般的な「Aの香り,Bの香り...」というように名詞表現に対し,動詞,形容詞,形容詞句の重要性に着目したという点に独自性を持つ。 ②の研究では、基本的な鑑賞理論が無かった食の美的鑑賞について、その時間的性質を現象学的に記述し、多様な料理を横断的に説明する分類を示した。まず食品自体がもつ対象の時間、学習を含む認知の時間に加え、現象の時間(非物理的な心の時間)の 3 つがあることを提示した。さらに、現象の時間は線型時間、円環時間、点的時間、非時間の4つの時間性により分類されることを示した。これらの時間性は先験的に決定されるものではなく、食べる者の注意と態度によって生成される。この研究は、従来美学で無視されてきた味や香りに光をあて、飲食物を美的鑑賞の対象として取り上げるための基礎を提供する画期的なものである。 本研究は、「味わう機械」の工学的実現に向けて、センサで測れば同値となる、構成要素が同じ食品(握り寿司と海鮮丼)が異なる食経験をもたらすことを、時間性を視座として説明可能とし、より感性に沿うセンシングの基礎理論を提供する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
味と香りの主観的な経験記述手法の開発に加え、食の美的鑑賞の時間的性質を現象学的に記述する方法論を展開することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
味わうという行為を精緻かつリッチに記述する方法論と、食の鑑賞理論をさらにしていく。 応用的展開として、時間性の無い食事に時間性を与えることによる食体験の向上、具体的には入院者の流動食に時間的性質を加えることで主観的な美味しさを向上させる取り組みを、大阪府内病院との共同研究により進めていく。
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