Project/Area Number |
20K20365
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Project/Area Number (Other) |
18H05351 (2018-2019)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Pioneering)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2020) Single-year Grants (2018-2019) |
Review Section |
Medium-sized Section 32:Physical chemistry, functional solid state chemistry, and related fields
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
岩田 耕一 学習院大学, 理学部, 教授 (90232678)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥26,000,000 (Direct Cost: ¥20,000,000、Indirect Cost: ¥6,000,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2019: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2018: ¥16,640,000 (Direct Cost: ¥12,800,000、Indirect Cost: ¥3,840,000)
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Keywords | ラマン分光法 / 時間分解測定 / 化学反応 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,ピコ秒時間分解ラマン分光法と表面増強ラマン散乱(SERS)分光法を融合させた「ピコ秒時間分解表面増強ラマン分光法」を開発して,化学反応中間体などの過渡分子種を超高感度・超高速で検出することをめざす.この「ピコ秒時間分解表面増強ラマン分光法」では,金や銀などの金属ナノ粒子の表面近傍に存在する分子のラマン散乱が表面プラズモン共鳴および金属への電荷移動遷移への共鳴によって著しく増大することを利用する.化学反応の理解は,化学における主要な研究課題の一つである.本研究が所期の目的を達すれば,化学反応の理解を著しく進歩させるための実験手段を提供できることになる.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,令和3年度までにフェムト秒光源を利用して安定性に優れた新たな方式のピコ秒時間分解ラマン分光計を開発し,フーリエ変換限界に近いプローブ光において二乗平均平方根0.8%の出力安定性を達成することができた.このピコ秒時間分解ラマン分光計を用いて金および銀のナノ粒子近傍におけるターチオフェン分子の振動緩和過程を観測し,最低励起1重項状態に電子励起されたターチオフェン分子と金属ナノ粒子との間に3ピコ秒以内での高速な振動エネルギー移動が起こること,およびこの振動エネルギー移動がチオフェン環のC-S伸縮振動に帰属される振動モードにおいてのみ進行すること,を見出した.この実験結果は,金属ナノ粒子によるモード選択的な振動位相緩和の加速やチオフェン環間のねじれ構造の緩和を示唆しており,分子内および分子間の振動カップリングによるエネルギー伝達モデルの提案につながる重要な意味を持っている.令和4年度は,これらの研究の結果を国際会議で発表して世界に発信するとともに,国外の研究者とこの問題について詳細に議論して考察を深める予定であった.令和4年8月には,ラマン分光学を主題とする大規模な国際会議であり,研究代表者がその国際運営委員に選挙で選ばれている第27回国際ラマン分光学会議が米国で対面開催された.この会議は,予想される参加者の水準から考えても本研究課題での成果を発信するとともにその内容について議論するために最適な場と予想された.しかし,学会開催の時点では,わが国において帰国便搭乗前のコロナ検査で陽性になると帰国が許されないという入国管理が実施されており,帰国できなくなるリスクを考慮して参加を取りやめるに至った.10月にはギリシアで開催された第17回科学および工学における計算手法に関する国際会議で招待講演を行ったが,研究代表者は対面参加せずにオンライン講演を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のとおり,令和4年度には,国際会議で成果を発表して外国からの研究者達との詳細な議論を通じて本研究課題に関する考察を深めることは実現しなかった.これは新型コロナ感染症の蔓延による渡航制限によって引き起こされた事態であって研究代表者が制御できる範囲を超えていたとはいえ,本研究課題の推進という観点からは不本意だったと言わざるを得ない. 一方で,上述のとおり,本研究ではこれまでの実験によってきわめて新規性が高く,基礎科学の視点からみて重要な結果を得ていることもまた事実である. これらの状況を総合的に勘案すると,本報告書の執筆時において「おおむね順調に進展している」と判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
本報告書の執筆時点では,新型コロナ感染症による渡航制限はほぼ解消されている.令和5年度には,対面での国際会議に参加して研究の成果を発信するとともに,国外からの研究者との議論を通じて本研究課題についての考察を深める.6月にオランダで開催される時間分解振動分光学に関する国際会議(TRVS2023)には,研究代表者は次回の同会議のcochairとして参加する.9月にポーランドで開催される第12回先進振動分光学に関する国際会議(ICAVS12)では研究代表者は全体講演を行う.10月には,研究代表者がコロナ禍以前の数年間にわたって国際運営委員を務めた米国開催のSciXでの研究発表を予定している.国内では,9月に研究代表者がcochairとしてアジア分光学会議(ASC2023)を新潟県で開催する.これらはいずれも分光学の専門家が世界から集まる水準の高い会議である.これらの会議での成果発表と参加者との議論を通じて本研究課題の完成度を高める.国際会議での研究交流と並行して,原著論文を執筆して査読付き国際誌に投稿する.
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