Project/Area Number |
20K20669
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Studies on the Super-Aging Society
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西 希代子 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (40407333)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 無縁社会 / 高齢社会 / 高齢化 / 無縁化 / 相続 / 財産管理 / 信託 / 財産承継 / 超高齢社会 / 高齢者法 / 少子化 / アメリカ法 / 超高齢化 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、所有者不明土地問題等、超高齢社会における財産管理・承継問題の検討を手が かりとして、科学等の知見も生かした「高齢者法」という新たな領域の形成の可能性を探 ることを目的とする。高齢者の「無縁者」化が進む現状では、従来の民事法・公法等の枠組みを前提とした対応には限界がある。さらに、問題の根本的解決のためには、これらの問題が、高齢者の引きこもり、孤独死等、「無縁社会」化の問題の一環であることを認識し、高齢者と社会とのつながり、就労、経済的基盤、住まい、医療・福祉等に関する問題を総合的に扱う領域を創造することが望ましい。本研究では、アメリカの試みを参考として、日本版「高齢者法」の創設を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、超高齢社会における財産管理・承継問題を手がかりとして、「高齢者法」という新たな人文・社会科学融合分野の形成を目指すことを主な目的とし、「無縁社会」克服の糸口を見いだすことを副次的目的とするものである。 本年度の研究成果は、大きく2つに分けられる。 第一に、「高齢者法」という法領域の存在とその可能性を、法学界のみならず、実務の世界に広く紹介することができた。まず、行政関係者、法律実務家等を主な読者層とする雑誌「戸籍」に、3回にわたり論考を掲載した。合計8万字を超える論考であり、そこでは、高齢者法の意義からはじまり、高齢者の財産管理・承継の方法を整理するともに、高齢者の財産をめぐる本人、家族、社会そして国家の利害関係等の分析も行った。次に、法律家や社会福祉関係者を主な読者層とする雑誌「実践成年後見」にも、高齢者法の現状とこれからの展望等をまとめた論考を寄稿した。いずれにおいても、先行するアメリカ高齢者法をふまえつつ、これからの日本社会にふさわしい日本独自の高齢者法を追求する必要性を示した。 第二に、先般行われた民法・不動産登記法の改正について考察し、論考を公表した。所有者不明土地問題等が超高齢化・少子化を一つの背景としているためである。改正の目的、意義および問題点を整理した上で、残された問題と今後検討が必要な課題を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先行する英米法圏の高齢者法の研究のため、渡航を予定していたが、コロナ禍の影響で実現しなかったため、若干の遅れが生じている。 コロナ禍も落ち着きつつあるため、来年度は、早期に渡航する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、研究のとりまとめを行う。そこでは、次の3点が主な柱となる。 第一に、これまでの研究で得た外国法の知見、とりわけ、アメリカ高齢者法を紹介する。その内容の紹介のみならず、その背景とアメリカ高齢者法をとりまく実際の状況(法学界のなかで置かれた状況、法科大学院での教育方法・内容等も含む)も取り込む。 第二に、日本版高齢者法のアウトラインを示す。日本では、未だ体系書等もなく、法領域として確立しておらず、その具体的な内容のイメージがわきにくいため、具体例を挙げつつ、高齢者法の内容になりうる項目を提示する。 第三に、日本独自の視点を打ち出す。すなわち、アメリカ等の高齢者法及び従来の日本の高齢者政策は、高齢者には、それを介護し、またそれを相続する家族がいることを前提に構築されてきた。しかし、日本では、実際には、家族、親しい親族や知人がいない、いわゆる無縁者が増加している。身元保証会社をめぐるトラブル、引き取り手のない遺骨の問題、無縁墓等は、まさに、このような無縁社会に特有の問題でもあり、アメリカ高齢者法では扱われていない内容である。「無縁社会における高齢者法」をキーワードとして、今後の課題を明らかにする。あわせて、アメリカ高齢者法から学ぶだけでなく、日本と同様、超高齢化とともに少子化が進む韓国等との共同研究を進める必要性など、今後の高齢者法研究の在り方についても一つの方向性を示したい。
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