Project/Area Number |
20K20701
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 2:Literature, linguistics, and related fields
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
柴田 美紀 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (90310961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
STAICOV ADINA 広島大学, 学術・社会連携室, 助教 (90864645)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 留学生 / 高等教育の国際化 / EMI / 言語観 / アイデンティティ / 高等教育機関 / 言語使用 / 非英語母語話者 / 非日本語母語話者 / グローバルキャンパス |
Outline of Research at the Start |
真の「グローバル・キャンパス」とは、言語的文化的背景に関わらず、そこで学ぶすべての学生が、平等に知的探求ができ、高等教育を修了できる環境である。こうした環境を実現するためには、言語マイノリティである留学生の多言語事情の調査は必至である。この点をふまえ、本研究は日本語と英語の言語環境で学ぶ留学生の言語実態とアイデンティティとの関連性を多角的かつ包括的に調査し、日本の高等教育機関および日本社会に適応していく過程で留学生の重層的なアイデンティティとことばの選択・使用との関わりを検証する。本研究の成果は、今後ますます多言語化現象が進む日本社会での言語的共生に向けての方向性を示すと期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
高等教育の国際化を目指し、日本政府は留学生を増やす努力をしている。その方略として、文部科学省は英語による(English-meidum instruction, 以下EMI)科目やプログラムの提供を大学に奨励している。一方で、もうひとつの国際化方略は、国内外の高等教育機関や語学学校での日本語教育の強化である。その意図は、日本語で学ぶ留学生を増やすことにあるが、さらに日本語で修学した留学生が卒業後に日本で就職することを期待している。このように、日本の国際化はふたつの言語政策によって推し進められている。しかし、母語に漢字を用いる留学生とそうでない留学生では、日本語学習に差が生じると予測できる。この点から上述のふたつの言語政策は漢字圏の留学生とそうでない留学生を二分化している可能性は否めない。そこで、本研究では留学生を中国語留学生と非中国語留学生に分け、その言語使用とアイデンティティについて検証した。 2023年度は、2021年10月から2022年2月にかけて58名の留学生に行ったインタビュー・データの分析を行った。分析結果は予測した通り、中国語留学生のほうが非中国語留学生より日本語能力の自己判断結果が高く、日常生活およびアカデミックな場面において日本語使用が多くなっていた。一方で、非中国語留学生は自己判断による英語力が高く、主たる使用言語は英語であった。また、ふたつのグループは異なる言語課題に直面しており、それに伴って、言語に関わる大学の方針および対応についても異なる認識、見解を持っていた。帰属意識、アイデンティティと言語の関わりについてもグループ間に違いが見られた。特に中国語留学生は結びつきが強く相互扶助の関係が見られた。一方で、両グループに共通した体験は、期待していた日本人学生と交流がほとんどないことである。分析結果は留学生の実状を明らかにしたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は研究代表者がサバティカルを取ったことから、インタビューデータの分析が順調に進んだ。また、質的研究ソフトMAXQDAの使用にも慣れたことから、コーディングがスムーズに行えるようになったことも、順調に進展した理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果を本にまとめて出版予定である。すでにプロポーザルを書き終え、出版社に提出している。また、研究成果の一部は2024年8月にマレーシアで開催されるAILA(International Association of Applied Linguistics)2024で発表予定である。
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