人口減少社会における新たな高等学校像―地方創生の基盤としての人材育成―
Project/Area Number |
20K20822
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 9:Education and related fields
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
南部 初世 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (40263058)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 人口減少社会 / 高等学校 / 地方創生 / 人材育成 / 日独比較分析 / 後期中等教育制度改革 / 高等学校の特色化・魅力化 / 多様な生徒の学び |
Outline of Research at the Start |
本研究は、人口減少社会における新たな高等学校像を提示することを目的としている。具体的には、①ドイツの近年の学校制度改革と、日本における2000年代以降の高等学校の多種類化・特色化、再編・統合について整理する、②「より長く共通の教育課程で学ぶ」理念とそのための具体的な措置を明らかにし、ドイツにおける学力差のある生徒に授業を行う特別研修プログラムと実際の授業における活用・成果を分析するとともに、日本の「進路多様校」、「特色校」等における実践を分析する、③以上を総合的に分析することにより、複数の高等学校を維持することが困難な地域において、地方創生の基盤としての人材育成を行う高校の在り方を模索する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中等教育段階における多様な生徒の学びを保障する理念・制度・実態について日独比較分析を行い、複数の高等学校を維持することが困難な地域において、地方創生の基盤としての人材育成を行う高校の在り方を模索することを目的としている。2022年度は、研究課題(1)における日独制度基盤要件分析(①ドイツ全州の学校制度改革の背景・経緯、新たな学校種の特徴、それに対する評価の整理・分析、②日本における2000年代以降の高校の多種類化・特色化、高校生が急減する中での高校の再編・統合についての整理・分析)における②を中心に進めた。研究内容は以下の2つに整理できる。 第一は、スクール・ミッション(SM)、スクール・ポリシー(SP)の教育政策論上の位置づけである。今次高校教育改革は、新たな「制度」の導入により、高校の抱える問題にアプローチしてきたこれまでの改革とは異なり、人口減少が急速に進行し、最先端技術によって産業構造や社会が劇的に変化しつつある中で高校教育の意義と役割を問い直すものであり、方策の一つにSM、SPの策定が提案されていた。今後は、具体的に各都道府県の高校再編計画とあわせてSM、SPを分析していくことが必要となる。 第二は、学校と家庭・地域社会との関係を問う政策及びそれと関わる地方教育行政改革論議の分析である。これまで学校と家庭・地域との「連携」として整理されてきた問題には、いっそう地方創生の視点が反映されるようになってきており、地域コミュニティの核として学校をとらえ、地域人材の育成を図る仕組みの構築に高校を位置づける方策が展開されてきている。 研究成果は、論文の他、日本教育学会ラウンド・テーブルの企画・運営及び報告「教育政策論から見たスクール・ミッション、スクール・ポリシー」、2022年度第2回富山県総合教育会議(「富山県の高校教育のあり方について」)等で公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、3つの研究課題から構成される日独比較研究であり、ドイツ現地を訪問して研究課題(2)(2分岐型学校制度を導入した州及び統合型総合制学校制度を有する州において、「より長く共通の教育課程で学ぶ」理念とそのための具体的な措置、ドイツにおける学力差のある生徒に授業を行うための教員の特別研修プログラムの分析を行い、その実際の授業における活用と成果について明らかにする《ドイツにおける制度実態分析》)を究明する計画を立てている。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、①ドイツを訪問して実施する5日程度の事前調査、②ドイツを訪問して実施する7日程度の本調査、③ドイツを訪問して実施する5日程度の補充調査を実施できていない。 また、研究課題(1)の2)日本における2000年代以降の高校の多種類化・特色化、高校生が急減する中での高校の再編・統合について整理・分析する《日本における制度基盤要件分析》)における都道府県実態調査についても、受け入れ自治体の都合により、東京調査、大阪調査、兵庫調査、福岡調査、長野調査、富山調査各2回、北海道調査1回を現在の段階で実施できていない。 なお、研究課題(1)の1)ドイツ全州における学校制度改革について、その背景・経緯、新たな学校種の特徴、それに対する評価を整理・分析する《ドイツにおける制度基盤要件分析》については、予定通り文献及びWeb調査を進めており、研究課題(1)の2)における日本全体の政策動向についても、予定通り文献及びWeb調査を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
WHOによる緊急事態の宣言が終了し、ドイツ調査については、コンタクトパートナーと連携し、あらためて調査受け入れ可能校を選定して調査を実施する。調査対象州としては、「3つの教育課程を有する学校種/総合制学校」に分類されるザールラント州(統合型総合制学校、協力型総合制学校、地域共通学校)、ベルリン州(統合型中等学校)、「2つの教育課程を有する学校種」に分類されるブランデンブルク州(高等学校)、ラインラント・プファルツ州(実科学校プラス)、ヘッセン州(連携型基幹・実科学校、中等段階学校)を予定している。各州において、教育行政職員に対しては、学校配置、制度改革、各学校種の現状と課題等について、学校管理職・教員に対しては、学校種固有の学校経営の現状と課題、学力や進路の異なる子どもが共に一つの教室で学ぶ意義と課題、「分化」、教授法上の工夫とそのための教員の力量形成等について、児童・生徒に対しては、当該学校選択の理由、学習上の生徒同士の関わり合い等について調査を実施する予定である。 国内では新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行したこともあり、自治体への調査日程調整を再度行い、調査を実施する。
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Report
(3 results)
Research Products
(14 results)