留学はいつまで越境か;学生モビリティの将来に関する探索的研究
Project/Area Number |
20K20825
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 9:Education and related fields
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 佐知彦 大阪大学, 国際教育交流センター, 教授 (70335397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 昭子 国際武道大学, 体育学部, 准教授 (70781847)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 留学 / 越境 / 留学生教育 / 仮想化 / ICT / インターネット / 教育 / 異文化コンピテンシー / ヴァーチャル体験 / リアル体験 |
Outline of Research at the Start |
まなびの仮想化が進んでおり「留学」のあり方も変わろうとしている。しかし技術開発が先行するだけでは「留学(そして越境)経験の教育的本質」という根本問題がなおざりにされる。留学生の教育に関わっている者の一人として、未来の「モビリティ形態」を見通しつつ「バーチャルとフィジカル越境の比較」や「学習者が得るリテラシーの相違」等、素朴な疑問を内外の留学生教育当事者、ICTやAI専門家や関係者と共に考える。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでは「留学体験は越境体験」というパラダイムは疑問の余地のない大前提とされてきた。しかし科学技術はその枠組みも変えるかもしれない。ICTの発達などによって「遠隔授業」などの技術革新は「留学」に置き換えられうるのか。そういった未来的な問題意識をもって探索的研究を企図していた。 ところが全世界的にパンデミックによる渡航の途絶が続く中で、「国外に出ないままの擬似的留学体験」が急速に一般化してしまった。研究計画時には未来的と考えていたパラダイム変換が突然極めて今日的課題として立ち現れてきた。本研究も研究の方向性について見直しが必要になった。 そのため研究当初にはDr Murakami(英Bath大)等を通じた海外事情の聴き取り・情報収集に取り組むとともに、2022年に交通が再開すると、実地・聴き取りの、取材などをはじめることにした。また新たな分担者として国際武道大工藤昭子准教授を加えて「母国と常時繋がっている現代の大学生」にとっての留学経験について新たな調査軸を用意し、国内での調査体制を強化した。日本語教育によって外国人留学生に広範なネットワークを有する工藤准教授は、日本語学習(座学中心)する中国人学生がどの程度中国語(母語)ネット環境に依存しているかなど、ネット使用実態の解明に取り組んだ。また調理師育成教育・武道教育のように、ホスト文化への依存度が高く、また師弟関係などのリアルな人間関係がまなびの中心におかれるであろう留学生についての調査を実施、座学中心の学生との対比分析に取り組んで、留学生にとって越境先での学びについて「リアルとバーチャル」な関係について分析に取り組んでいる。 そのような対比を進める中で「HomeとAway」および「RealとVirtual」といった分析軸から、Z世代の学生の「まなびのあり方」全体を俯瞰する研究に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 研究計画ではICT先進地(例えば中国や米国など遠隔での大学教育デリバリーが浸透した地域)での聴き取りや、SXSW等のテクノロジー見本市への参加を企図しており、実地の見学・調査を考えていた。しかし渡航が制限されているなかで、調査や聴き取りおよび発表については、渡航して調査については大きな見直しが必要となった。 また、海外協力者の一人であるDr Murakami(英Bath大)等を通じて海外の事例収集に引き続いて取り組み、また必ずしも高等教育・留学に限られてはいないが、日英中の様々なICT化事情に関するデータの分析も行っている。 また仮想空間では「人間関係」も「学び」も容易に国境を越えている、という事実を直視し、そもそも身体が異国にあったとしても「母国と常時繋がっている現代の大学生」にとっての留学経験は、プレ・スマホ時代のそれと同質なのか、という「HomeとAway」「RealとVirtual」という、現代的なまなびの本質に関わる疑問について、新たに工藤昭子准教授(国際武道大)を分担者に加え、調査課題として焦点化することにした。 工藤准教授は日本語教育が専門で、外国人留学生に広範なネットワークがある。国内で日本語等を学ぶ外国人留学生のインターネット使用に関する調査に関しては、工藤准教授の人脈や専門性を活用し、2022年5月に米国コロラド州デンバーで開催された国際会議NAFSAにおいて共同発表している。なお「推進方策」でも多少触れているが、留学という学習形態で「ホストカルチャー」や師弟関係を含めた人間関係に強く依存するであろうスタイルの学び、例えば調理やマーシャルアーツなどについて、研究を焦点化していく方向性を考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
渡航の制限は緩和されてきたものの、円安や燃料費の高騰など様々な制約によって、海外での調査や聴き取りおよび発表については、以前ほど自由に取り組める状況にはない。2023年度以降についても留学生教育に関する国内外のコンフェレンス等への積極的な参加をはかると共に、事情が許せば、今後は当初の研究の企図に立ち戻って、テクノロジー見本市等への参加も考慮する。それらの場では研究発表をおこなうと共に、現地の留学プログラムのステークホルダー達と意見交換をおこなう。 また海外協力者の一人であるDr Murakami(英Bath大)等を通じて海外事情の聴き取りに取り組んでいるが、課題先進地である欧州もしくは米国を訪ねての調査についても、実施出来る状況になることを期待している。そして、現在国内で取り組んでいる日本語学習留学生および「文化依存度の高い留学生」とのあいだでのインターネット使用の実情などについて対比分析をすすめる予定である。それらの結果について広く内外に広報すると共に、代表者が会長をつとめる留学生養育学会(JAISE)や理事となっているグローバル人材育成教育学会(JAGCE)、また監事を務めるJAFSAなどのネットワークを活かし、様々な視点を持つ多様な関係者からの意見を聴取し、今後期待できる研究の発表に厚味を加えていくことに務めたい。
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Report
(3 results)
Research Products
(8 results)