Project/Area Number |
20K20847
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 9:Education and related fields
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
徳久 恭子 立命館大学, 法学部, 教授 (60440997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香川 七海 日本大学, 法学部, 准教授 (20816368)
木村 元 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特任教授 (60225050)
荻原 克男 北海学園大学, 経済学部, 教授 (70242469)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | インフォーマル・ネットワーク / 教職員組合 / 歴史研究 / 領域学問 / 自主研究活動 / 教育団体 / 政策波及 / アドボカシー / 家庭科教育 / 教員団体 / 学力 / 教研活動 / 自発的結社 / ソーシャル・キャピタル / 教育委員会 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,教員および教員団体(自主研究活動組織)の間に築かれるインフォーマル・ネットワークの厚さが,教員の資質を高め,経済地理的条件の相違にかかわらず児童生徒の学力を標準化させたという仮説をたて,その検証を試みるものである。具体的には,戦後に神奈川県下で行われた教員の自主研究活動を例に検証を進める。 既存の研究は,教員による個別の自主研究活動に注目することはあっても,量的に把握することはなかった。本研究は,全国的に行われた教員の自主的な研究活動の機能を明らかにすることで,戦後の教育史に新たな知見を提供するものと考える。
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Outline of Annual Research Achievements |
教員および教員団体の間に築かれるインフォーマル・ネットワークの厚さが教育パフォーマンスに与える影響を見出すことを目的とする本研究プロジェクトの2023年度の活動は,研究成果の発信とフィードバックに力点を置いた。具体的には,2023年8月に開催された日本教育学会や10月に開催された日本教育行政学会で報告を行い,そこで得たコメントを踏まえて研究成果の精緻化をめざした。その過程で,学際研究の難しさや歴史研究に対する認識の相違を確認できた。 たとえば,マクロな視点をもちつつ,それまで軽視された民衆(被支配層)の暮らしや文化に着眼し,学際的に歴史の再解釈に挑んだアナール学派の一部が細分化したように,歴史研究は事例への分散(遠心性)と統合が課題になる。この問題を教育学における歴史研究に照らした場合,領域学問である教育学においては「統合」の指向性(構造)に特有の解釈があり,その可視化が課題になるのではないかという直感的な予想が得られた。これは研究プロジェクト発足当初には予想しなかったことであり,学際的な共同研究を専門分化した学会で報告したことから得られた知見といえる。その言語化が次年度の課題に残された。 一方,事例研究については手堅い成果を挙げつつある。女性比率の高い教職員組合であってもインフォーマルネットワークの形成やそこで得た活動の成果を公式の機関(本研究では県教組や日教組)に反映させる際のジェンダーギャップが明らかになるなどした。これらはジェンダー研究との連結を可能にする知見であり,今後の展開が期待できる。 本研究はコロナ禍に採択された都合,資料収集等が大幅に遅れていたが,以上のような発見もあり,徐々に実を結びつつあるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19にともなう行動制約(図書館の利用制限等)により資料収集の遅れが研究当初から続き,研究計画が全般的に後ろ倒しになっている。このことから「やや遅れている」と評価した。 しかしながら,研究期間の延長により2023年度は学会などで研究成果の発信を行うことができたのみならず,新たな課題発見もでき,研究成果を得られつつある。時間軸では遅れを否めないが,2023年度の研究を単体で評価すれば,「おおむね順調に進んでいる」といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は2023年度に課題認識された,歴史研究における統合と細分化の問題を検討したい。学際的研究の過程で再認識されたこの課題に挑むことは挑戦的研究(萌芽)にふさわしいもので,国内外の学会に参加して見識を深めつつ,学会報告などを通じて第三者のコメントを得るなどして精緻化したいと考える。 それと並行して,研究成果の一層の発信を心がけたい。そのために,過年度と同様に,外部の研究者を招聘した研究会を開いて助言を得え,そこにメンバー間の議論を媒介させて個人の研究にフィードバックさせる形での推進を図りたい。
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