力学的自己組織ナノコイル網による光メタマテリアルの創製
Project/Area Number |
20K20954
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 18:Mechanics of materials, production engineering, design engineering, and related fields
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
村岡 幹夫 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (50190872)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
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Keywords | ナノ材料 / 金属ナノコイル / 光メタマテリアル / 比透磁率の虚部 / 自立還元型テンプレート / 膜ひずみ / 表面エネルギ / メタマテリアル / 光学的性質 / テンプレート / 真性応力解放 |
Outline of Research at the Start |
可視光の波長より小さい径を有する金属コイルは、常識を超えた光学特性を示す光メタマテリアルの分散材として切望されている。しかしながら、その大量製造技術は未だ報告されていない。研究代表者は、最近、電磁波と強い相互作用を示す金属微小コイルからなる網状体を、簡便に作製できる斬新な力学的自己組織化手法を発明した。本研究では、当該コイル網のコイル径を微小化し、さらにコイルの配向技術および切断技術を開発する。これにより、大量の金属ナノコイルの分散材作製を実現し、光メタマテリアルの創製に挑戦する。たとえば自然界には存在しない高屈折率のレンズなど光メタマテリアルは光計測分野や社会生活に与えるインパクトも大きい。
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Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では,前年度に確立した製造法により,コイル径170 nmの銀ナノコイル網を量産し,光学分野への応用を図った。特に,金属表面の可視光反射防止膜として,多重反射表面層[金属薄膜/誘電体層(可視光波長の1/4の厚さ)/金属表面]に注目した。これは誘電体層内で多重干渉する際のエネルギ損失を利用した反射防止膜である。通常,当該損失は,誘電体層の比誘電率の虚部,つまり光の電場応答によって生じる。銀ナノコイル網を当該誘電体層に挿入した本研究では,吸収率(反射損失)の有意な増加が確認できた。一方,同一の面密度を有する銀ナノファイバ網を挿入した場合,反射損失の増加は確認できなかった。これらの結果は,可視光領域における銀ナノファイバ網は透明であり損失に寄与しないこと,また,コイル形状効果により損失が増大することを意味している。当該現象のメカニズム検討により,多重干渉層内や金属反射面近傍では光の磁場が支配的となり,当該磁場のエネルギを銀ナノコイル網が吸収したと推論した。つまりファラデーの法則に従い,光の振動磁場による誘導電流がコイル内に発生し,ジュール損によりエネルギ逸散が生じた。また,コイル網のキラリティバランスにより,誘導電流による電磁放射はキャンセルされ,効率のよい吸収が実現された,との結論に至った。本結果は,銀ナノコイル網が,光メタマテリアルとして,見掛けの比透磁率の虚部を発現していること,また,磁場優勢な反射面近傍への配置が重要であること,を示している。 研究期間全体を通じて,可視光波長よりも小さいコイル径を有する銀ナノコイル網の量産方法を確立し,また,可視光に対し比透磁率の虚部を発現する光メタマテリアルとしての応用と原理を明らかにした。
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Report
(4 results)
Research Products
(7 results)