拡張潤滑理論による分散混相流中の非平衡輸送問題への展開
Project/Area Number |
20K20972
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 19:Fluid engineering, thermal engineering, and related fields
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹内 伸太郎 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (50372628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 領 東京工業大学, 学術国際情報センター, 准教授 (30414361)
田川 義之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70700011)
梶島 岳夫 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (30185772)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 潤滑 / 粗面 / 膜透過輸送 / 非平衡 / 粒子流れ / 液滴浮遊 / 潤滑理論 / 界面 / 混相流れ / 輸送現象 |
Outline of Research at the Start |
従来の潤滑理論が成功をおさめてきた非常に狭い領域における流れ現象は、狭隘部の壁垂直方向の圧力は一定値であることが特徴である。一方、狭いとは見なせない広さの隙間では、壁垂直方向に発生する圧力勾配は無視できず、そこでは潤滑の影響を受けた特徴的な輸送現象が考えられる。 そのため、潤滑理論をより広いクラスの問題に適用できるような拡張・一般化を行う。すなわち、固体壁と自由界面の間など様々な境界条件に対応する隙間流れを記述する方程式群を統一的に取り扱う方法を提案することで、(既存の潤滑理論では記述できない)潤滑流れが関与する非平衡輸送現象に新しい定式化と解析基盤を与える。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、流体中に分散的に存在する界面が近接する際に発生する潤滑に由来する効果が、流れ場全体に及ぶような影響を与えることを、数値計算と実験を通して解析し、代表者が提案した拡張潤滑モデルを通して理解する。 2022年度は、拡張潤滑モデルをすべり壁(slip wall)で囲まれた流路へ拡張した。従来のno-slip壁に対するモデルと比べて、あたかもno-slip壁が壁垂直方向にシフトした項を加えることによってすべり壁の影響を取り込むことができることを示した。興味深いのは、すべり壁であることは、潤滑圧の低次成分が従う方程式においては追加の項を発生させるが、高次成分が従う式は(no-slip系と同じく)ポアゼイユ成分とクエット成分のみから成る点である。独自の問題設定において当該モデルと高精度数値解を比較することにより、誤差の評価を行い、モデルの有効性と適用範囲を示した。 また可変形セル状粒子を狭隘路で流した際の粒子表面における膜透過流束を求める数値解法を開発した。粒子が狭隘路を通過する際の潤滑圧によって、粒子は局所的に大きな曲率を有する特徴的な形状を示し、膜透過流束が局所的に変化することを数値的に見出した。潤滑が支配的な環境下における非平衡輸送現象の特徴の一つであると言える。 さらに一定速度で移動する壁面上に滴下した液滴を浮遊させる問題に拡張潤滑モデルを適用し、液滴表面に不安定波が発生する条件を示した。 さらに粒子混相流における実用的な潤滑アルゴリズムの構築の試みについて二通りのアイデアを提案し、数値計算コードへの実装を行い精度や計算効率、適用範囲などの比較を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
狭隘路における潤滑モデルを流れの数値解析に埋め込む手法の開発を進めていたが、数値的な安定性を確保するまでに当初の予定よりも時間を要した。流体解法のベースとして採用した手法と、提案手法の相性の問題から、解の振動が発生したことが主たる原因である。厳密解がある系における検証は終わり、現在はより一般性のある系に用いて適用性を確認しており、順次、大規模な問題へ適用範囲を拡大していく予定である。 また、粗面を含む流路における潤滑について、当初の予想と異なり、モデルの構築に時間が要した。構築したモデルでは規定された条件の外でも解がうまく構成できており、その理由を理解するのにもう少し解析を進める必要があるが、粗面の長さスケールと流路代表スケールの比が表面化しないようなモデルを構築することができそうな手応えを得ている。 移動壁面と浮遊液滴の間に存在する空気薄膜流れの問題に対して、潤滑圧を考慮した数理モデルと高精度数値解析結果との比較を通して検証を行っており、特徴的な波動現象の発生を記述する条件について議論を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
流体中を運動する物体間の狭隘流路において、数値計算結果に潤滑圧のモデルを埋め込んで解の精度を上げる手法について、off-axis 衝突する問題への適用を確認した後、多数の粒子が運動する系へ拡張する。Discrete-forcing 埋め込み境界法において数値的取り扱いが安定する方法が概ねできあがったので、今後は比較的容易に実施できるようになると見込んでいる。また、より大規模で実用的な場面に適用可能な手法も同時に提案して、精度と計算速度などを比較していく予定である。 粗壁面を有する流路における潤滑解を構成する手法について、現在は少数のフーリエモードで構成される粗面壁に対して検証された理論を、幾何学的ランダム性のある粗面壁へ適用できるような一般的な手法へ拡張する準備を進めている。
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Report
(3 results)
Research Products
(24 results)