Project/Area Number |
20K21023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 22:Civil engineering and related fields
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
中村 寛治 東北学院大学, 工学部, 教授 (90382655)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 糸状化細菌 / 大腸菌 / 原生動物 / 捕食 / 捕食抵抗性 / センシング / Flectobacillus / 蛍光遺伝子 / 薬剤耐性遺伝子 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、被食細菌と捕食原生動物の相互関係把握を可能にする、捕食環境(原生動物及びその代謝物を含む)用のセンシング細菌を開発し、相互関係の機構解明に向け、その糸口を見出すことを目指す。環境放出細菌の生残性を決定する機構が明らかになれば、広く環境中での細菌を管理する新たな概念が生まれる。それは環境浄化に留まらず、環境水中へと漏えいした病原性細菌等を管理する手法にもつながると考える。
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Outline of Annual Research Achievements |
Flectobacillus属細菌が原生動物による捕食を受けると糸状化するという現象の観察を基に、捕食環境センシング技術に関して研究を継続している。しかし、原生動物による捕食環境下においても糸状化が起きないケースが散見された。それゆえ、保有している2株のFlectobacillus属細菌を使って、詳細な条件検討を行った。 その結果、どちらの菌株においても、Flectobacillus属の糸状化が、必ずしも捕食環境によってのみ引き起こされるものではないことが確認され、センシングとして利用することは困難であることが判明した。 そこで、代替策として、昨年度から研究を進めている大腸菌Escherichia coli K-12株による捕食抵抗性の検出に関する研究を進めている。Escherichia coli K-12株は微生物の代表的な菌株であり、染色体の遺伝子解析も行われ、公開されている。この様な代表的な菌株を使って、原生動物との接触によって捕食抵抗性が形成されることを昨年度からの研究で明らかにし、その成果を論文としてまとめ、アクセプトされた。 また、その後の研究結果から、原生動物と捕食抵抗性を有する細菌が存在する場所に、培養した細菌(環境浄化細菌や大腸菌)を添加すると、優先的に極めて低い濃度まで捕食されてしまうことが明らかとなった。この結果から、捕食現象は、「原生動物」と「捕食抵抗性細菌=自然環境下の土着細菌」と「培養した環境浄化細菌や大腸菌」の3者が関係していることが明らかとなった。これまでの研究では「原生動物」と「培養細菌」の2者の関係でしか検討を行っていなかったが、3者が存在する中での共同解析が必要なことが明らかとなり、引き続き、作成した組換え大腸菌を使って研究を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の発想は、原生動物による捕食環境下でFlectobacillus属細菌が糸状化によって捕食を回避する現象の利用であった。しかしながら、原生動物による捕食が起きる中で、常に糸状化が起きるわけではないことが詳細な検討から明らかになった。そこで、代替案として大腸菌Escherichia coli K-12株をつかった捕食環境の詳細調査を進めた。その結果、大腸菌は原生動物との接触によって捕食抵抗性を獲得し、その状況下で新たな培養細菌が添加されると、原生動物の捕食はその新しい添加細菌に向けられることが明らかとなった。本現象は新しい発見であることから、その研究成果を論文としてまとめ投稿し、アクセプトされるに至った。現在は、この捕食抵抗性が形成される要因の解明に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果から、大腸菌を利用して原生動物との共存下で形成される捕食抵抗性の確認ができるようになった。これは当初のFlectobacillus属細菌を利用したものとは異なるが、本質的には捕食環境下での細菌によって発現される対応現象を把握するには十分であると考えられる。一方、原生動物との共存下で起きる「捕食抵抗性獲得現象」に関して、形状変化や物質生産を伴う特別なケースに関する報告は存在するが、大腸菌の様に形状変化も示さない一般的な細菌に関しては、従来の知見がない。そこで、最終年度は捕食抵抗性形成現象を解析するために作成した2種類の組換え大腸菌、Escherichia coli K-12-TGF(緑色蛍光タンパクを保有し、テトラサイクリン耐性)、およびEscherichia coli K-12-KRF(赤色蛍光タンパクを保有し、カナマイシン耐性)を利用し、どの様な捕食環境下で、どの様な要因によって捕食抵抗性が形成されるか(=センシング)を検討し、明らかにしていく。
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