Project/Area Number |
20K22001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0102:Literature, linguistics, and related fields
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 貴之 追手門学院大学, 文学部, 講師 (50881091)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | ユーモア小説 / 昭和 / ジャーナリズム / メディア / 文学全集 / 太平洋戦争 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、昭和期のユーモア小説について、ジャーナリズムとの関係から検討する。ユーモア小説の主要媒体である大衆娯楽雑誌や婦人雑誌、出版社の全集企画等を調査することで、ジャーナリズム戦略と作品との関わりを明らかにする。昭和戦前から戦後にかけて、文学の笑いがメディアとの関係においてどのような形態を取ったのか。またユーモア小説が読者にいかに受容され消費されたのか、実際の出版戦略と読者受容の相互関係を紐とき、当時の人々に強く訴えかけた笑いの様態と効果を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は昭和期の「ユーモア小説」ジャンルについて、メディア的側面とジャーナリズム戦略から捉え直すことを目的としている。 2023年度は改めて、(1)各地の図書館や資料館に所蔵されているユーモア雑誌の調査、(2)昭和初期に発行されたユーモア文学に関する全集叢書類の調査、という二つの軸によって研究を遂行した。 (1)については、まず神奈川近代文学館・日本近代文学館・国立国会図書館に蔵書されているユーモア雑誌「ユーモアクラブ」「ユーモア」「明朗」等の調査をおこなった。また当時の大衆娯楽雑誌「キング」「サンデー毎日」や、婦人雑誌「婦人之友」「婦女界」に掲載されたユーモア小説についても掲載状況の調査・整理をおこなった。さらに、各地域の図書館や資料館に残されたユーモア作家の原稿や執筆関係資料などの調査、実見もおこなった。ユーモア小説ジャンルはさまざまな種類の雑誌に埋め草的に掲載されていた経緯があり、ジェンダーや階級を横断した多様な読者を獲得していた一方で、その全体像の把握は容易ではないが、本研究の調査によって若干の傾向や特色の一部が明らかになってきた。 (2)については、昭和初頭に発行された小学館の『ユウモア文学全集』、ジャンル隆盛の火付け役となったアトリエ社の『現代ユーモア小説全集』などについて調査をおこなった。特にジャンル黎明期の『ユウモア文学全集』に関しては、当時のユーモア作家・少年少女小説家・漫画家が名を連ねる一方、硬質のいわゆる純文学作家も平行して収録されており、純文学と大衆文学の奇妙な混交が見られる。ここからは、「ユーモア文学」を多くの読者の受容・需要に応える大衆文化として売り出しながら、半面で円本ブームにはじまる「全集」読者向けの高級文化としても価値付けようとする編集意図が垣間見える。上記のように、ジャーナリズム戦略と文学場との駆け引きや共犯関係についての考察が進んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は主に、文献資料の所蔵調査・収集に注力した。 その結果、得られた資料によって新たな論点や考察の端緒が見えてきたため、当初計画の枠組みを漸次修正しながら、再調査や改めてのテクスト分析を並行しておこなった。 そのため、2023年度内に論文などの成果として発表するには至らず、当初計画からするとやや遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はあくまで基礎調査にあたるものであり、これまで収集した資料を整理して目録等の作成をおこないつつ、各文献に対して独自の分析を加えて成果として学会発表や論文投稿を進めたい。
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