現代宗教と胎児生命観の変容:日本と台湾の「プロライフ運動」を通して
Project/Area Number |
20K22036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0104:Geography, cultural anthropology, folklore, and related fields
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Research Institution | Otani University (2021-2022) Tohoku University (2020) |
Principal Investigator |
陳 宣聿 大谷大学, 真宗総合研究所, 研究員 (40880315)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | プロライフ / 胎児 / 台湾 / カトリック / 中絶 / 政治と宗教 / 人工妊娠中絶 / 保守主義 / ジェンダー / いのち / 胎児観 / 日本 |
Outline of Research at the Start |
本研究は現代社会における宗教と胎児のいのちを考察するものであり、中でも特に「プロライフ運動」に着目する。「プロライフ運動」とは、胎児の生存権・生命権に立脚し、中絶反対を唱える社会運動のことである。東アジアにおける宗教と胎児のいのちを論じる際に、水子供養儀礼の側面に集中する傾向が見られるが、制度的宗教団体によって展開されたプロライフ運動の考察が比較的少なかった。 本研究は日本と台湾で調査を展開し、①日台におけるプロライフ運動の発展と様相、②制度的宗教と胎児のいのち、二つの課題を解明していく。この研究を通して、胎児のいのちの多面的理解、東アジアの宗教と政治問題に新たな視点をもたらすことが期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の課題に引き続き、2022年度において実地調査を再開し、主要な研究実績は以下の2点となる。 1.台湾におけるキリスト教系プロライフ団体の動きを把握:報告者は台湾におけるキリスト教的背景を持つプロライフ団体(内訳:カトリック系1つ、プロテスタント系1つ、多宗教1つ)に対してインタビュー調査及び参与観察(デモ活動、儀礼)を行った。一口にキリスト教といっても、カトリックとプロテスタントはそれぞれ異なる組織を立ち上げる傾向が見える。台湾におけるカトリック教会は、1970年代から1980年代、そして2000年代以降でも、胎児の生命尊重を理由に中絶の反対運動を行い、歴史的な側面を把握するには1つの重要な手がかりとなる。また、プロテスタントのプロライフ団体は危機的妊娠へのサポート及び純潔教育に力を注ぐ特徴があり、組織の構成は教派の垣根を越える傾向がみえる。 2.日本におけるプロライフ団体の動き:報告者はまた日本におけるプロライフ団体が行った集会に参加し、主要な担い手、運動の手法、組織の対外関係などについて情報収集を行なった。今年度は特に経口妊娠中絶薬の認可の反対に力を注ぎ、署名活動、講演会など、具体的な活動を展開していたことが分かった。また、2021年度マーチフォーライフ活動の調査を継続し、主催者側のみならず、協力団体についてのインタビュー調査を行なった。 上記する研究実績の一部は、国際学会での研究発表、予稿論文の形式で報告されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の達成度を判断した理由は、以下の通りである。 1.台湾における実地調査の再開によって新たな課題を発見:今までオンラインで実施してきた調査を継続しながら、調査開始当初、新型コロナウィルス感染症によって縮小、中止された儀礼、デモ活動も徐々に再開するようになった。それによって、台湾での調査が大きく進展した。実地調査で得た成果のほかに、『中国天主教文化協進会会訊』、『教友生活週刊』、『天主教周報』といったカトリック信者向けの刊行物を収集することができ、カトリック教会内部の立場の違いについて把握することができた。他方、この調査を通して、新たな課題も生じ、現在調査した団体の他に、別のプロライフ団体への調査も視野に入れる必要性も感じた。 2.整理の作業がやや遅れる:調査が進展するものの、新たな発見によって、研究計画当初の枠組みを調整する必要が生じ、それに伴って論文の執筆、整理作業がやや遅れている。他方、丹念に1つの論考に向き合ったため、予稿論文の内容が評価され、第6回アジア未来会議で優秀論文賞を受賞した。 以上の達成点と不足点を総合的に考え、おおむね進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究が始まる際に、報告者は日本と台湾における多宗教、宗派、教派が複合しているプロライフ団体の特徴に焦点を当てたが、研究が進むにつれて、国際的に展開するキリスト教のネットワークにも注意を払う必要があると感じた。こういった2022年度の研究成果を踏まえ、以下の2点「1.補足調査の実施」及び「2.カトリック教団の動向に関する継続的な検討」が必要となる。 1.補足調査の実施:報告者は今までの研究を通して、台湾と日本において、現在活躍しているプロライフ団体の基礎を把握していた。他方、それらの団体の前身となる団体、もしくは枝分かれた団体に対する認識がまだ不十分である。それを踏まえて、これらの団体に対して新たな補足調査を実施する予定である。 2.カトリック教団の動向に関する継続的な検討:報告者は2022年9月17日、台湾のカトリック教会が台北、新竹、嘉義、高雄、花蓮及び金馬の六つの教区で同時に開催した第2回のMarch for life(中国語:為生命而走)というデモ行進活動について参与観察を実施した。2019年のMarch for lifeは新竹教区のイベントであったが、教区を超えた全国単位の組織の成立によって、全国的なイベントになった。今後重要性がさらに増すことが考えられるため、継続的な観察が必要である。
上記の研究成果を生かし、今後も論文の執筆や学会発表を尽力し、研究成果を還元する予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(8 results)