自治体の人材採用をめぐる政策過程:「採用戦略」に着目して
Project/Area Number |
20K22074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0106:Political science and related fields
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田井 浩人 九州大学, 法学研究院, 専門研究員 (30878236)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 人材採用 / 採用戦略 / 人的資源管理 / 人事行政 / 地方自治 / 公務員制度 / 政策過程 / 地方自治体 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、自治体の人材採用政策を、「試験方式」「広報・募集の仕方」「選考スケジュールの設定」など複数の要素から構成される「戦略」として把握し、その形成過程を分析することを通じて、自治体の採用政策の実態と多様性を明らかにする。第1に、先行研究や調査データの分析を通じて、自治体の採用政策にはいかなる「戦略」が存在しているのかを明らかにする。第2に、複数の自治体の事例研究を通じて、自治体の採用政策の形成過程を分析する。具体的には、採用制度の改革がなぜアジェンダとして浮上したのか、採用をめぐる「戦略」がどのように形成されたのか、それがいかなる政策過程を経て制度化されたのかなどを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、日本の自治体では、長年にわたる採用試験の受験者数の減少と競争率の低下を背景として、人材採用制度の改革が進んでいる。本課題は、こうした自治体の採用政策の変化を、「試験方式」「広報・募集」「採用スケジュール」等の複数の要素から構成される「戦略」の観点から把握することで、今日における自治体の採用政策の実態と課題を明らかにすることを目的としている。
昨年度までは、本課題と関連する行政学、経営学、経済学等の文献の収集、自治体の人材採用に関する既存の調査データとの分析を実施した。その作業を踏まえる形で、①本年度は、上記データの分析を通じて、自治体の採用政策の変化に関する全国的な傾向とその背後にある戦略の内実いついて検討した。その結果、先行研究で主に指摘されてきた採用試験の負担軽減(例:筆記試験の廃止)のみならず、受験者数確保のために年齢制限の撤廃・緩和、採用スケジュールの変更・短期化、広報媒体の多様化等のさまざまな工夫が普及しつつあり、その一部は実際に短期的な競争率の上昇につながること、またその背後にある戦略観が日本企業の伝統的な採用の論理に近接しつつあることを明らかにした。②加えて、個々の自治体の採用政策の形成過程を分析するために、インターンシップ型採用などの特徴的な取り組みを行っている自治体へのヒアリング調査を行った。後者に関する成果は次年度に総括を行い論文や学会報告等の形で公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初、本課題は(1)「採用戦略」の理論的考察、(2)事例の収集と選択、(3)事例調査、(4)事例間の比較検討という4つのステップで遂行することを予定していた。だが、過去2年間の新型コロナウィルス感染拡大の影響により、自治体へのヒアリング調査の実施時期が後ろ倒しとなったため、研究全体の進捗にも遅れが生じている。令和5年度は補完的な現地調査の実施に加え、研究計画を一部変更し研究を完遂させたいとと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる令和5年度は、①昨年度までに予定していた自治体への現地調査について、今年度中に実施できなかった事例地への調査を行うとともに、②研究計画を一部変更して自治体の採用試験の受験者層を対象としたウェブベースのサーベイを実施する。これは、現在までの研究によって、採用試験を実施する自治体の側が制度変更に伴う変化や課題等に関する情報を保有していないケースが多く見られたためであり、採用制度のあり方が自治体の人的資源管理にどのようなインパクトを有するかを検証するために別途の調査が必要であることが判明したためである。以上の作業は令和5年度の前半までに実施し、後半はこれまでの研究成果を総合する形で論文の執筆と学術誌への投稿を目指す。
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Report
(3 results)
Research Products
(8 results)