トルコにおける都市難民の社会統合と流動性に関する研究
Project/Area Number |
20K22082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0106:Political science and related fields
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
佐藤 滋之 武庫川女子大学, 食物栄養科学部, 准教授 (60884608)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 難民ガバナンス / 都市難民 / シリア難民 / トルコ / 社会統合 / 非正規移動 / シリア人難民 |
Outline of Research at the Start |
現在、国際社会の進めようとしている難民の経済的自立に基づいた支援の前提となるのが、難民の都市居住化と社会統合である。トルコの大都市部において、都市難民としての生活をおくるシリア人難民を対象とした実地調査を行うとともに、トルコ政府の政策や国際社会からの支援の推移を併せて分析しながら、難民の都市居住化が社会統合に結びつくための条件と、それが難民のトルコ国内外への流動性に与える影響を研究する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度前半は依然として新型コロナウイルス感染症流行の影響によってトルコでの現地調査が難しい状況にあったため、難民を庇護国社会から遠ざけ難民キャンプ等にて支援を行う従来の難民ガバナンスから、難民の現地社会への統合と都市難民を中心とした保護に移行しつつある背景を理論的に分析し、難民ガバナンスの新たなアクターとして民間セクター特に私企業の関与の研究を行った。この研究の中間報告として、日本国際政治学会2022年度研究大会の国連研究分科会において「難民保護のグローバル・ガバナンスにおける規範の動揺と再定義」と題する発表を行った。この研究は現地調査での視点を広げるうえで役に立つものであった。 2022年度後半は新型コロナウイルス感染症の流行が収束に向かったため、トルコでの現地調査を実行すべく準備を行った。イスタンブールのバフチェシェヒール大学の協力を得て、現地調査の準備を進め、2023年3月にトルコでの調査の手配を行ったが、2月にトルコ南西部で大規模な地震が発生したこと、またトルコでの大統領選挙が8月から5月に繰り上がり、政治的状況が厳しくなったことにより現地で難民支援を行っているNGO関係者や政府関係者、そして難民自身への聞き取り調査を行うことが非常に困難な状況となった。このため3月の現地調査については聞き取り調査を広く行うことは断念し、少数の研究者と協力してくれるNGO関係者の聞き取りを行うこととした。 3月の現地調査では、バフチェシェヒール大学の協力によりイスタンブールで都市難民研究者との話し合いや現地NGOを訪れ難民支援の現場の視察や関係者への聞き取りを行った。一方でイスタンブール市内の難民居住地域を複数訪れることが出来たが、難民への直接の聞き取りは実現できなかった。現地の状況が適切な時期に聞き取り調査を行うべく、その準備を現地の研究協力者と話し合った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では現地調査での結果をもとに学会発表を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の拡大により現地調査を実行できない状況が続いていたため、フォーカスを都市難民の背景にある難民ガバナンスの変質に置き、学会発表を行った。 2022年度後半に、新型コロナウイルス感染症流行が収束に向かったため、現地での調査を行うことが出来たが、トルコ南西部での大震災及び大統領選挙の期日が早まったこと等の影響により、予備調査的な位置づけの現地調査となった。今後も難民へ直接聞き取りを行うことが難しい状況が続くことが予備調査によって明らかになったため、聞き取り調査の対象を、難民の社会統合に関わる支援者、特に雇用機会を提供する私企業や、難民の社会統合を助けるNGOに焦点を置き調査デザインを練り直す必要に迫られている。このため本調査は2023年度の後半とせざるを得ない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に再びトルコを訪れ、本調査と位置づける聞き取り調査を行う。この際には調査対象者として新たに難民の社会統合に関わる民間セクター関係者を加えることによって、これまで難民視点中心に行われてきた「難民の社会統合の研究」を現地の人々の視線からとらえなおす工夫を行いたい。 また、バフチェシェヒール大学の都市移民研究センターとさらなる協力関係を深め、研究のネットワークを広げることによって、研究に必要な情報を入手するとともの、都市移民研究センターとの共同研究にも参加し、今後の研究の発展に布石を打ちたい。
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Report
(3 results)
Research Products
(1 results)