Project/Area Number |
20K22087
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0107:Economics, business administration, and related fields
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
湯淺 史朗 一橋大学, 経済研究所, 非常勤研究員 (30876694)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | バブル / 資産価格バブル / 国際金融 / 不確実性 / 合理的バブル / マクロ経済学 / 動学的一般均衡モデル / 動学的均衡モデル / バブルの発生 |
Outline of Research at the Start |
日本の平成景気やアメリカのサブプライム危機で見られたように,不動産などの資産価格の高騰,暴落現象は時として一国の経済全体に多大な影響を及ぼし得る.どのような経済条件が揃ったときに,このような資産価格の高騰現象は発生するのであろうか.本研究は,この問いに答えられるマクロ経済モデルの開発の礎となる,資産価格バブルの発生時点が内生的に決定される経済モデルの基礎理論の発展に取り組むものである.
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度はバブルの発生時点予測モデルの理論分析に関する結果の取りまとめを行なった.この取りまとめは分析で得られた結果を,資産価格バブル以外の関連分野の知見と統合して考察することを目的としており,当該研究の学術的位置付けをより明確にするという意義がある. 令和4年度の取り組みの主な結果は次の二点に集約される.第一に,国際金融分野における国家間を跨いだ資金移動の特性の説明に本研究の結果が応用できる可能性があることがわかった.国際金融の分野では,一国の経済状況の悪化によって発生する国家間の急激な資金移動の原因を突き止めることが主な課題の一つとなっており,近年の研究では資産価格バブルによってそのような資金移動が生じる理論的可能性が示されている.本研究のバブルの発生予測に関する理論的結果を応用すれば,このような資金移動がいつ発生するかをバブル理論に基づいて予測できる可能性がある. 第二に,人々の経済情勢に関する予測の不確かさの度合いの大小が,バブルの発生時点の決定に影響を及ぼし得ることがわかった.本研究が提案する理論においては「今日購入した資産が明日適正価格以上で売却できるか」という人々の将来の予測に関する問いが,バブル発生時点の決定に際して大きな役割を果たしている.近年,将来の予測に関する不確実性が経済に及ぼす影響についての研究が急速に進んでいるが,不確実性がバブルの発生時点の決定に及ぼす影響については分析されておらず,本研究の結果はこのような経済不確実性に関する研究の文脈においても学術的価値を持つものと推察される.この不確実性に関する考察に際して,不確実性の変動が経済に及ぼす影響についての実証分析を行ったところ,不確実性の変動が先行研究で考えられているよりも複雑なメカニズムを通じて経済に影響を及ぼしていることが示唆された.この結果を論文として執筆し学術誌への投稿を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度ではバブルの発生時点決定についての理論分析の結果を論文として取りまとめ学術誌に投稿する予定であったが,先行研究のサーベイが難航し投稿まで至らなかった.多分野に渡るサーベイを行う上でリサーチアシスタントの採用を予定していたが,適任者が見つからなかったため当初の予定より進捗が遅れることとなった. その一方でバブルの発生時点決定に関連のある,経済の不確実性に関する分析で予定外の進展があり,速報性のある結果であったこともあり速やかに論文としてまとめ投稿に移る事ができた.当初の研究計画とは多少異なるが,どのような形であれ研究成果を社会還元できる形に近づけることができたことの意義は大きい. 予定されていた計画の遅延と予定外の研究の進展を勘案してやや遅れているという自己評価を下した.
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度に引き続き,バブルの発生時点決定の理論研究を論文として取りまとめ,学術誌への投稿を行う.追加の関連研究のサーベイは行わず令和4年度までに得られた情報と分析結果を元に論文の執筆,改訂に専念する.当初の研究計画になかった不確実性研究の実証論文についても引き続き継続して投稿に取り組む. 査読の段階で追加の頑健性チェックなどの分析が要求される可能性が高いと考えられるため,リサーチアシスタントを雇用し新たなデータの取得,データセットへの加工などの比較的簡単な作業を委託することで研究遂行の効率化を図る. 査読で要求された分析が難解であったりリサーチアシスタントが計画通りに採用できない等の事由で,バブルの発生時点決定の理論研究と不確実性に関する実証研究の2つが両立して遂行できない状況に陥った場合は,当初の研究計画の目的であるバブルの研究の遂行を優先する.
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