心筋炎におけるIL-6の治療標的としての可能性の検討
Project/Area Number |
20K22765
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0803:Pathology, infection/immunology, and related fields
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
網岡 尚史 岡山大学, 大学病院, 医員 (50884912)
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Project Period (FY) |
2023-02-26 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | IL-6 / 心筋炎 / 急性心筋炎 / 自己免疫性心筋炎 / 心不全 |
Outline of Research at the Start |
心筋炎は限られた病理型 (好酸球性心筋炎、巨細胞性心筋炎)でステロイドや免疫抑制剤の有効性が報告されるのみで、それでも予後は不良である。一方COVID-19の蔓延をきっかけにIL-6阻害薬がサイトカインストームを伴う炎症状態の治療薬として注目されている。本研究では心筋炎患者におけるIL-6の意義、実験的心筋炎マウスに対するIL-6阻害薬の効果を検討し、心筋炎患者へのIL-6阻害薬の臨床応用の可能性を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者網岡は2021年5月から2023年5月まで海外留学していたため、その間研究を中断していた。留学前、網岡は2010年7月から2017年4月まで岡山大学循環器内科で治療を受けた13人の急性心筋炎患者と12人の不整脈患者(コントロール群)のサンプルとデータを分析した。この研究で、急性心筋炎患者の血清IL-6値はコントロール群と比べて有意に高いことが明らかになった。また、急性心筋炎患者の組織に浸潤する炎症細胞でIL-6の発現が免疫染色により確認されたが、コントロール群ではそのような染色は見られなかった。さらに、血清IL-6値は心筋逸脱酵素(CK, CK-MB)と正の相関を示し、心機能とは負の相関があった。心筋炎患者をIL-6値に基づき低IL-6群(n=7)と高IL-6群(n=6)に分けた結果、高IL-6群の患者は重症心不全が多く、集学的な治療を受けている患者も多かった。このことから、IL-6は病理学的、臨床学的にも重症度と相関する重要なマーカーであることが示された(PMID: 33814251)。この研究成果は、2024年3月に日本循環器学会の学術集会シンポジウムで発表され、多くの臨床医に共有された。活発な質疑応答があり、特に研究に組み入れた患者の背景に炎症性の拡張型心筋症などが含まれている可能性を否定できないことがLimitationと考えられること、他の炎症性サイトカインなどについての検討はどうか、などの意見も寄せられた。患者組み入れの定義は病理所見で規定されており、それが「急性心筋炎」である以上、研究としての科学的正当性に問題はないと考えられた。一方でIL-6のみが重要なのか、他の炎症性サイトカインについてはどうなのか、IL-6は心筋炎の重症度の指標にとどまらず、治療標的となり得るのかどうか、などについては更なる研究が必要であり今後の課題であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初打ち立てた研究の目的は概ね達成している。現在は臨床的意義の重要性を再検証している段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は臨床データを用いて他の炎症バイオマーカーと比較したIL-6の有用性について検証している段階にある。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Pathological and clinical effects of interleukin-6 on human myocarditis2021
Author(s)
Amioka Naofumi、Nakamura Kazufumi、Kimura Tomonari、Ohta-Ogo Keiko、Tanaka Takehiro、Toji Tomohiro、Akagi Satoshi、Nakagawa Koji、Toh Norihisa、Yoshida Masashi、Miyoshi Toru、Nishii Nobuhiro、Watanabe Atsuyuki、Asano Ryotaro、Ogo Takeshi、Nakaoka Yoshikazu、Morita Hiroshi、Yanai Hiroyuki、Ito Hiroshi
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Journal Title
Journal of Cardiology
Volume: 78
Issue: 2
Pages: 157-165
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Pathological and clinical effects of interleukin-6 on human myocarditis2021
Author(s)
Naofumi Amioka, Kazufumi Nakamura, Tomonari Kimura, Keiko Ohta-Ogo, Takehiro Tanaka, Tomohiro Toji, Satoshi Akagi, Koji Nakagawa, Norihisa Toh, Masashi Yoshida, Toru Miyoshi, Nobuhiro Nishii, Atsuyuki Watanabe, Ryotaro Asano, Takeshi Ogo, Yoshikazu Nakaoka, Hiroshi Morita, Hiroyuki Yanai, Hiroshi Ito
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Journal Title
Journal of Cardiology (Online ahead of print.)
Volume: 未定
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Peer Reviewed
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