Project/Area Number |
20K23383
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Home-Returning Researcher Development Research)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medicine, Dentistry, and Pharmacy
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
丹野 秀崇 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, プロジェクトリーダー (00740705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 英介 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (40365292)
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Project Period (FY) |
2021-03-12 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥55,770,000 (Direct Cost: ¥42,900,000、Indirect Cost: ¥12,870,000)
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Keywords | 癌 / 免疫 / 遺伝子治療 / 1細胞解析 / T細胞受容体 / 抗体 / がん / 1細胞解析 |
Outline of Research at the Start |
近年、T細胞受容体(TCR)を用いた癌遺伝子治療が画期的な成果を収めたことにより世界中で同様の臨床試験が活発に行われている。しかし、既存の抗原特異的TCRの単離手法では癌特異的TCRの単離が困難な上、極一部の癌患者にしかTCRを適用できない。そこで本研究では、抗原特異的TCRを一斉同定出来る技術を開発することによりこれらの問題点を解決し、誰でも迅速、安全に受けられる新規癌遺伝子治療法を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
T細胞は細胞表面上のT cell receptor (TCR)を用いることで、病原細胞が提示しているペプチド抗原-MHC(pMHC)複合体を認識し、殺傷する。従って、体内に存在しているTCRの特徴を理解すれば、治療薬としての応用や、より有効な感染予防ワクチンの開発等に役立つ。しかし、人間の体内には膨大な種類のTCRが存在しており、その中から病原細胞特異的TCRを発見するのは既存の技術では困難だった。一方で、研究代表者はこれまでに体内のTCRの特徴を高速に解析できる基盤技術の開発に成功している。本研究では研究代表者の高速TCR解析技術を駆使することによって、癌抗原由来pMHCを認識するTCRを発見し、それを活用した遺伝子治療法の開発に取り組んでいる。 2023年度も引き続き高速TCR解析技術を腫瘍内T細胞、癌患者末梢血T細胞、健常者T細胞にそれぞれ適用し、TCRレパトアの解析を行い、その特徴の比較解析を継続して実施した。また、これまでにTCRの認識pMHCを同定するために、ウイルスベクターを用いたpMHCのディスプレイ技術の開発を行ってきたが、より高速にTCRの認識pMHCを決定できる技術の開発も行った。これらの基盤技術を腫瘍内T細胞や末梢血T細胞に適用することにより癌特異的TCRの単離に取り組んでいる。加えて、2022年度に開発したランダム抗体を発現する酵母ライブラリーを応用することによって、容易に抗原特異的抗体を単離できる技術の開発に成功した。本技術を用いることによって癌抗原特異的抗体やウイルス抗原特異的抗体の単離に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに様々なTCR-pMHCの相互作用を解析可能な基盤技術の開発を行ってきており、2023年度は更に相互作用解析を高速化できる基盤技術の開発に成功した。これらの基盤技術を癌患者由来検体に適用することによって癌特異的TCRの候補を絞り込んだ。更に、酵母ディスプレイによる新規抗原特異的抗体単離手法の開発にも成功した。本技術により簡易に抗原特異的抗体が発見可能になり、抗体―癌抗原の相互作用解析が大きく加速されることになった。本技術を腫瘍内抗体の網羅的解析に適用し解析を進めている。以上のように、TCR・抗体・抗原の相互作用を網羅的に解析する技術開発を達成できたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も癌患者および健常者のTCRレパトアを比較解析することによって、癌患者が発現するTCRの特徴を解明していく。またこれまでに得られた癌特異的TCR候補のより詳細な解析を進め、実際に癌細胞を殺傷可能か否かや、その副作用のレベルをin vitro, in vivo実験により検証していく。加えて、酵母ディスプレイ技術を活用することによって癌抗原特異的抗体を単離していく計画である。そして、得られた癌抗原特異的抗体の治療薬や診断薬としての有用性を検証していく。更に得られた抗体を用いてCAR-T細胞も樹立し、その癌殺傷効果を検証していく。
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