Project/Area Number |
20KK0018
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 4:Geography, cultural anthropology, folklore, and related fields
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
辻村 真貴 筑波大学, 生命環境系, 教授 (10273301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 和哉 東洋大学, 生命科学部, 教授 (10581613)
榊原 厚一 信州大学, 学術研究院理学系, 助教 (40821799)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
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Keywords | 河川 / 地下水 / 湧水 / 涵養域 / 流出域 / クアラルンプール / クラン川流域 / 水資源 / 熱帯湿潤地域 / 地下水涵養 / 地表水 / マルチ・トレーサー |
Outline of Research at the Start |
マレーシアの首都クアラルンプール市域において、その主要河川であるクラン川流域を対象とし、源流から沿岸域に至る河川、貯水池、および浅層・深層地下水の循環・流動に関わる動態を、各水体間の水の交流に着目しつつ、水の起源・混合、流動経路、および滞留時間の観点から明らかにする。源流から下流に至る河川水、貯水池、地下水における水素・酸素安定同位体組成、フロン、六フッ化硫黄等のガス濃度、微生物の全菌数等の情報を水循環のトレーサーとして用い、対象流域における各種水体における起源、混合割合、循環経路、および滞留時間を評価する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、7月末、9月上旬、および2月下旬の各季節において、フィールド調査を実施した。7月末、9月中旬は、相対的には乾燥期、2月下旬は相対的に湿潤期に相当する。フィールド調査は、昨年度まで対象としてきたマレーシアの首都クアラルンプールを含むクラン川流域に、今年度はクラン川の南に隣接し、政治的中心地のプトラジャヤを含むランガット川流域を加えて対象とした。両流域とも上流域は森林地、クラン川流域は中下流とも都市域、一方ランガット川流域は中下流において都市域、パーム・プランテーション等の農業地域が混在する。両流域において、河川、湧水、地下水のサンプリングを行い、すべての水試料に関し、無機溶存成分濃度および水素・酸素安定同位体比の分析を実施した。 その結果、両流域において、地質条件に顕著な違いがないものの、とくに下流域について河川と地下水の交流関係に顕著な違いのあることが示された。下流域の地形勾配は両流域においてほぼ同じであるが、ランガット川における下流域の塩素イオン濃度、および安定同位体比がクラン川におけるそれに比較し顕著に高い特徴が示された。このことは、ランガット川流域とクラン川流域において、地下水の流出域が異なることに起因しているものと考えられる。すなわち、クラン川流域においては下流域において地下水が流出するのに対し、ランガット川流域では、中流域において地下水が流出し湿地帯を形成しているものと判断された。 今後更に、異なる時期における水サンプリング、および地下水サンプリング地点の拡充等を行うことが課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初本研究では、クアラルンプールを通るクラン川流域を主たる対象にしていたが、昨年度までの観測・解析結果等を勘案し、今年度、南に隣接するランガット川流域も比較対象に加えた。このことにより、対象流域の特徴がより明確になるものと期待している。 昨年度までのクラン川流域の調査により、とくに下流域において地下水の流出が生じており、そのことが下流域の河川水に海水の影響がほとんどみられない特徴をもたらしていると判断された。こうした特徴は、従来の地下水水文学、同位体水文学の教科書的な知見を修正すべき知見を有しており、今後更なるデータの蓄積が必要である。以上の理由により、「概ね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2024年度は、研究対象地域であるクラン川流域の水文特性をより明確にするため、南側に隣接するランガット川流域も合わせて、河川、地下水、湧水等の水サンプリングを実施し、両流域における各水体の水素・酸素安定同位体比、および無機溶存成分濃度の空間分布、季節変化を明らかにする。その上で、両流域における地表水-地下水循環系、すなわち、涵養域、流動域、流出域を特定し、これらプロセスにおける地形、地表面被覆等の影響を評価する。さらに、熱帯湿潤域における地表水-地下水循環系に関わる一般則を明確にする。
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