Project/Area Number |
20KK0020
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 4:Geography, cultural anthropology, folklore, and related fields
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
近藤 康久 総合地球環境学研究所, 経営推進部, 准教授 (90599226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 直之 東北大学, 工学研究科, 助教 (30814389)
石村 智 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 無形文化遺産部, 室長 (60435906)
大西 秀之 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (60414033)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | リビングヘリテージ / 文化遺産 / ケイパビリティー / アクションリサーチ / ドファール / オマーン / 伝統建築 |
Outline of Research at the Start |
オマーン南部の歴史的海港都市サラーラの旧市街において、建築、有形・無形文化遺産、文化的景観の観点を総合したアクションリサーチを実施し、まず石造伝統邸宅「判事の家」のリノベーション・プラン、次いで周辺地区の総合復興計画を策定し、現地政府に提言する。これにより、旧住民の新市街への転出と低収入労働者の流入により脆弱化した地域コミュニティーのケイパビリティー(潜在能)を高め、今も生活に使われている文化遺産(リビングヘリテージ)を未来世代へ継承するための方法論を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度が5年計画の第三年度にあたる。応募時の予想を超えて、前年度に続いて本年度もコロナ禍による渡航制限が継続したため、本年度前半も現地調査の実施を見送った。建築復興班(分担者:松本、協力者:林憲吾、腰原幹雄、大坪正英、菊本英紀、山雄和真、田窪淑子)は、主要な建築材料であるハトリ(目地材)とヌラ(仕上げ材)について、ソハール大学モシン・クレシ准教授による蛍光X線分析の結果を、過年度に実施した結果と照合して、地域ごとの成分の違いを分析した。その結果、建物に使用された材料と、原材料採取地で得られた材料には同様の傾向がみられ、採取された原材料をX線分析で同定可能であることが示唆された。また、強度試験の結果を検討した結果、建物における経年や劣化による強度変化と強度性能の関係を明確にすることを現地調査の課題として特定した。サラーラ旧市街の「判事の家」リノベーション計画については、設計案の策定に先立ち、周辺市街地における当該建物の価値を検証するため、外観表現に関する予備調査を実施した。旧市街の過去の航空写真・市街地古写真・文献を収集し、当地において高い価値を持った「白い仕上げ」の行われている建物を同定した結果、「判事の家」は当初は全面白塗りではない建物であったことが判明した。
本年度後半に、コロナ禍による渡航制限が実質的に撤廃されたため、3月末に建築復興班とリビングヘリテージ班(代表者:近藤康久、分担者:石村、大西、協力者:近藤洋平、黒沼太一)の合同により、マスカットのスルタン・カーブース大学(SQU)でリビングヘリテージに関する2日間の国際ワークショップ、サラーラで「判事の家」の被災状況調査及び周辺環境調査をそれぞれ実施する予定であったが、現地が3月22日から断食月(ラマダン)に入ることが判明し、SQU側から延期をすすめられたため、次年度の4月末から5月上旬に実施時期を繰り下げることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により、現地調査の実施が大幅に遅れている。しかし、建築班による過年度データと地質データとの照合に基づき、実験データの位置付けが明確化したことと、 SQU側と国際ワークショップ及び現地調査の計画を具体化させていることを鑑みると、進捗としてはやや遅れているものの、当初の研究目標を達成できるものと自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の4月末から5月上旬にかけて、拡大メンバー9名(近藤、松本、大西、林、腰原、山雄、黒沼、大学院生2名)がオマーンを訪問し、時期繰り下げとなった国際ワークショップ及び「判事の家」の被災状況調査及び周辺環境調査を実施する。周辺街区の変化を記録し、残存状況を加味した「判事の家」の文化財的価値を明らかにした上で、リノベーションプランを再検討する。また、経年変化や劣化を考慮した性能評価に加えて、建築材料組成・強度をオマーン北部と比較することで、南部サラーラ地域の建築材料及び構法の位置づけを明確にする。また、オマーンの文化遺産政策を把握するために、アラビア語の法典を読解できる研究分担者を1名追加する予定である。
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