Project/Area Number |
20KK0072
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 16:Astronomy and related fields
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
鳥海 森 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (30738290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 雅仁 国立天文台, SOLAR-Cプロジェクト, 助教 (80425777)
横山 央明 京都大学, 理学研究科, 教授 (00311184)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,150,000 (Direct Cost: ¥5,500,000、Indirect Cost: ¥1,650,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 超大型太陽望遠鏡DKIST / 太陽観測衛星ひので / 光球・彩層磁場 / 輻射磁気流体シミュレーション / 偏光分光観測 |
Outline of Research at the Start |
2020年に初期科学観測を開始する超大型太陽望遠鏡DKIST(Daniel K. Inouye Solar Telescope:米国ハワイ)は、既存の太陽望遠鏡を遥かに上回る口径4mを活かした圧倒的な集光力により、光球・彩層の高精度な磁場診断を初めて実現する。本研究では、DKISTとの共同研究体制を構築し、我々の強みである「ひので」衛星観測・彩層磁場診断手法・輻射磁気流体シミュレーションをDKISTデータと組み合わせることで、彩層磁場の高精度測定を行う。これにより、光球~彩層のエネルギー輸送の担い手と熱化の現場を特定し、その散逸量を評価することで、プラズマ加熱問題を定量的に解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の第3年度目である2022年度には、新型コロナウイルス感染症の影響によって遅延していたDKIST初期観測フェーズ第1期(OCP1)の採択課題について、観測が実施された。本研究チームからは、勝川と石川が提案した太陽光球面の観測が4月から5月にかけて実施された。DKIST観測では、安定した観測が継続したのは5分以下であり、また、空間分解能も限定的であったが、可視光・近赤外域での偏光分光シグナルを取得することに成功した。成果は、2022年12月のアメリカ地球物理学連合(AGU)秋季大会、および、2023年3月の日本天文学会で報告された。2022年8月には第2期観測(OCP2)が募集され、久保(研究分担者)・石川らの提案が採択された。観測セットアップの調整が完了し、2023年4月以降に観測が予定されている。また「ひので」衛星との協調観測データの解析にも着手した。 本研究課題のもう一つの目標である、輻射磁気流体シミュレーションを用いたモデル大気疑似観測についても進捗が得られた。Zhouは、彩層磁気リコネクション・ジェット噴出を2次元シミュレーションによって再現し、DKISTで用いられるカルシウム近赤外線で疑似観測を行った。成果は、2022年9月の日本天文学会および同年11月の国際学会Solar Polarization Workshop 10で報告された。また、本研究を米国側共同研究者と議論するのに向けて、論点の整理を行った。 そのほか、鳥海(研究代表者)は2021年度の成果を発展させ、太陽・恒星の大気加熱機構に関する観測的研究を出版した(Toriumi et al. 2022)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度には、本研究チームのメンバーである勝川・石川によるDKIST OCP1提案観測が、優先度が最も高いカテゴリとして採択、実施された。すでにデータは受領済みであり、対流運動と磁場の関係について解析を行い、国内・国際学会での成果報告も実施している。また、久保および石川によるOCP2提案が採択されており、新型コロナウィルス感染症の影響を考慮に入れると、十分に順調な進捗状況を保っていると言える。また、輻射磁気流体シミュレーションを用いたモデル大気疑似観測についても、Zhouが国内・国際学会で成果報告を行っており、2023年度の査読論文投稿へ向けて順調な進捗を示している。これにより、彩層ジェットや衝撃波に伴う磁場構造の変化を、DKISTのカルシウム近赤外線の偏光シグナルとして検出する方策が得られ、OCP2観測に対する理論面からの準備が進んだ。 新型コロナウィルス感染症の影響が徐々に収束し、国際的な交流も再開されつつある中、観測・理論とも大きな成果が得られており、進捗状況を「(2)概ね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度となる2023年度は、第2期のDKIST初期科学運用(OCP2)が実施される見込みである。本研究チームでは、久保(研究分担者)および石川による2提案が採択されている。OCP2では、これまでOCP1で使用されていた可視光偏光分光観測装置(ViSP)・可視光撮像観測装置(VBI)に加えて、近赤外偏光分光観測装置(DL-NIRSP)も稼働する予定のため、太陽の複数高度(光球および彩層)にてデータ取得が実現する。したがって、OCP2観測が実施されば、Zhouらによる数値シミュレーション・疑似観測研究から得られた、光球・彩層での偏光シグナルの理論予測と比較することも可能になることが期待される。 そこへ向けて、石川らはOCP1観測を査読論文にまとめるとともに、Zhouも疑似観測結果の査読論文化を進める。理論研究においては、DKIST側共同研究者(Uitenbroekほか)と会合を開き、計算結果の妥当性や疑似観測用計算コードの詳細などを議論する予定である。 また、これまでに構築したデータ解析環境を引き続き使用するとともに、各拠点機関においてデータストレージ(ハードディスク)の購入を行い、研究環境の整備を着実に進める。
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