Project/Area Number |
20KK0075
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 17:Earth and planetary science and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前野 深 東京大学, 地震研究所, 准教授 (20444078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井村 匠 山形大学, 理学部, 助教 (20878524)
McIntosh Iona 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), 研究員 (70780899)
石塚 治 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 首席研究員 (90356444)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2021: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 水蒸気爆発 / 噴出物 / 堆積物 / 熱水系 / 噴火履歴 / マグマ供給系 / 山体崩壊 / マグマ |
Outline of Research at the Start |
水蒸気爆発の発生機構を解明するために、仏領グアドループ島La Soufriere火山を主な研究対象として、先端的な地質学・物質科学・地球化学的手法を組み合わせて以下 (1)~(3) の研究を進める。(1) 噴出物解析にもとづき水蒸気爆発のプロセスと熱水系圧力溜まりの物理化学状態を解明する。(2) 水蒸気爆発前後の噴火履歴・マグマ供給系の変遷を構築し、水蒸気爆発とマグマ噴火との時間的、空間的関係を解明する。(3) マグマ噴火の先行現象や山体崩壊の引き金・帰結としての水蒸気爆発の役割など、水蒸気爆発の火山発達過程への影響を解明し、水蒸気爆発の機構とそれを駆動する火山システムの解明に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では水蒸気爆発の機構とそれを駆動する火山システムの解明を目的としている。主に仏領グアドループ島La Soufriere火山を対象とした噴火堆積物調査、試料採取、化学分析、年代測定を行うことが重要となるが、今年度、現地調査の拠点となる仏側研究機関(観測所)における体制の大幅な改変があり、仏側研究者による現地でのサポートが困難となったこと、調査時期をずらして欲しいという要望を考慮して現地調査を見送ることにした。一方、現地調査や分析のための準備や情報収集、および日本国内における類似火山の調査、情報収集を継続した。 日本国内については、とくに近年、水蒸気爆発を起こした霧島火山群や御嶽山に注目し、La Soufriere火山との比較を念頭においた噴火発生場についての研究を進めた。御嶽山については2014年噴火のレビューを行ったほか、その他の類似火山についても熱水系の温度や深度に関する情報を収集した。霧島火山群については前年度から引き続き、16-17世紀に発生したえびの高原の噴火と、それ以降、現在までに発達した熱水系との関連性を含めた研究を進めた。とくに岩石鉱物学的制約をもとに16-17世紀噴火を引き起こしたマグマ供給系の描像を明確にし、霧島火山群全体の活動における位置付けについて考察した。また、霧島火山群では西側の山体の多くではマグマ噴火の際に水蒸気爆発が先行して発生する。この事実とマグマ供給系の情報をもとに火山群西側では浅部にマグマが停滞しやすく、その結果、浅部に熱水系が発達しやすい状況が生じている可能性を提案した。新燃岳については、2017年10月の水蒸気噴火から2018年3月のマグマ噴火への噴火様式の遷移に関する地下浅部構造の変化やマグマ上昇過程のモデルを提案した。以上の成果は、霧島火山群に限定せず、複数の火口を有し、水蒸気噴火を繰り返す火山体の浅部構造やマグマ供給系のイメージの明確化に貢献する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
仏側共同研究者とLa Soufriere火山における現地調査を予定していたが、仏側共同研究者が事情により長期にわたり現地調査に同行できない状況が生じたため、今年度も実施を見送らざるを得なくなった。研究期間を延長し、現地調査については2024年度中に実施予定であり、準備、情報収集を進めている段階にある。一方、日本国内の水蒸気爆発の事例やマグマ供給系を対象とした研究では、データを収集しているものの、統合的な理解を得られる段階には至っておらず、今後も着実に研究を進める必要がある。以上のことから、全体として当初の予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度にLa Soufriere火山における噴火堆積物調査を行うことを最優先目標とする。共同研究者の現地調査への参加、協力にも目処が立ったため、現地調査をまず実施できるよう可能な限りを尽くす。採取試料の化学分析や年代測定についても今年度可能な限り行い、当初計画に沿った研究の実現に努める。 国内火山との比較研究を進めることは可能であるので、御嶽山や霧島火山群などの水蒸気爆発の事例を対象として、表面現象の推移や噴火堆積物の特徴、火山体浅部構造、マグマ供給系を解明するための研究は引き続き進める。水蒸気爆発研究の現状と課題について整理する。
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