Project/Area Number |
20KK0088
|
Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 21:Electrical and electronic engineering and related fields
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
山下 兼一 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 教授 (00346115)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 駿 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 准教授 (60731768)
柳 久雄 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (00220179)
水野 斎 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (60734837)
|
Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2021: ¥13,260,000 (Direct Cost: ¥10,200,000、Indirect Cost: ¥3,060,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | 半導体微小共振器 / ポラリトン / 有機半導体 / ペロブスカイト |
Outline of Research at the Start |
次世代の革新的量子デバイス技術の構築に向けて、半導体中で形成される光-物質混成状態の基礎光電子物性を詳細に理解し、それらを室温にて自在に制御するための基盤技術を開発することを目的とする。有機半導体やペロブスカイトを用いた高品質な微小共振器サンプルを国内にて準備し、これまでにも強い協力関係がある海外連携機関(英国ケンブリッジ 大学)を訪問し、世界最先端の評価実験を実施する。2名の若手研究者を含む研究組織により、本研究プロジェ クトを国際的なネットワークの中で中核的に実施する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、次世代の革新的量子デバイス技術の構築に向けて、半導体中で形成される光-物質混成状態の基礎光電子物性を詳細に理解し、それらを室温にて自在に制御するための基盤技術を開発することを目的とする。特異な電子物性を持つ半導体材料を光微小共振器内に閉じ込める。生成された混成励起状態(ポラリトン状態)の時間領域および実空間領域でのダイナミクスを、海外連携機関(英国ケンブリッジ大学など)における世界最先端の評価実験により詳細に調べ上げ、新奇光電子機能の発現/制御手法を開発することを目指している。 今年度の成果としては、室温ポラリトン材料として極めて有望な全無機鉛ハライドペロブスカイトを用いた微小共振器における新しいポラリトン物性を明らかにした。結晶構造に由来うわずかな光学異方性が存在することで、ポラリトン凝縮状態においても偏光ミキシングが発現することを示した。本研究成果により論文を執筆し、現在投稿中である。また、TPCOとよばれる有機結晶を用いた微小共振器においては以下の2つの成果を得た。(1)非常に大きな光学異方性が存在することで、ポラリトン分散特性に疑似的な光学的スピン軌道相互作用が生じることを見出した。(2)個々の有機分子がきれいに配列した結晶内では、自発的な共鳴作用により分子振動が巨視的なコヒーレンスを生み出し、特異な励起状態を形成している可能性を示した。後者については論文掲載に至っており、次年度以降の研究展開とテーマ設定にも大きな影響を与えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内での準備研究として申請時に掲げていた研究項目である「高品質な結晶成長」および「マグネトロンスパッタリングによる高品質微小共振器作製」はすでに達成してきた。また、鉛ハライドペロブスカイトにおける室温ポラリトン凝縮の偏光ミキシングが達成できたことは、室温で操作可能な量子技術応用に向けた重要な成果であるといえる。一方、混成励起状態のダイナミクスに関する実験は、海外連携機関のケンブリッジ大学を訪問して行うこととしている。コロナ禍による影響でこの海外渡航は延期になっていたが、オンライン、メールベースでのディスカッションは継続してきた。また、今年度の秋には短期で連携研究者であるケンブリッジ大学キャベンディッシュ研究所のAkshay Rao教授を訪問し、滞在研究の具体的な内容の詳細を決定した。そして実際に、今年度の2月には研究代表者の山下が渡英し、次年度の9月までの予定で現地での滞在研究を実施している。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍で渡英が延期になってきたため、研究機関を1年延長することとした。そして2月から9月までの予定で現地に滞在し、共同研究を推進している。連携研究者のケンブリッジ大学のAkshay Rao教授らとともに、有機結晶における混成励起状態について、(1)超高速過渡吸収分光法によるコヒーレンス形成のメカニズム解析、(2)過渡吸収顕微分光法による異方的な励起子拡散過程の解析を実施する予定である。また、その他の国際連携も進めており、独国・ハイデルベルグ大学のFelix Deschler教授らとはキラリティを有するペロブスカイト材料による混成励起状態のポラリトン形成を実施中であり、米国・コーネル大学のAndrew Musser博士とは超高速蛍光分光測定の可能性について議論を進めている。また、研究分担者として京都工芸繊維大学の稲田雄飛助教を加えており、特に結晶成長の部分でバックアップいただくことにしている。
|