Project/Area Number |
20KK0152
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 42:Veterinary medical science, animal science, and related fields
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
西川 義文 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (90431395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 謙一 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (10761702)
二瓶 浩一 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 研究員 (40373344)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 原虫 / トキソプラズマ / ワクチン / モンゴル / 小型反芻獣 |
Outline of Research at the Start |
モンゴルでの農牧業は主要産業の一つであるが様々な家畜感染症が発生しており、家畜の繁殖障害が常在化している。本研究ではモンゴルの重要な家畜資源である小型反芻獣に着目し、流産の発症に関与するトキソプラズマ感染に対する新しいワクチンの開発を目指す。モンゴル由来原虫株を分離し、細胞スクリーニング法による免疫刺激型抗原の同定、プロテオームによる自然感染動物で認識される感染認識抗原の同定を進め、これら抗原を組み合わせたカクテルワクチンの開発を進める。さらに、遺伝子破壊原虫の解析で新規ワクチン抗原の機能を理解し、小型反芻獣への感染実験を通じて新規ワクチンの効果と防御免疫反応の詳細を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
モンゴルでは様々な家畜感染症が発生しており、家畜疾病に対する予防・対策のニーズは高く、早急な対応が必要となっている。特に家畜における繁殖障害は経済的な損害が大きく、これに関連する病原性原虫としてトキソプラズマの存在が示唆されている。そこで本研究では、モンゴルの重要な家畜資源である小型反芻獣に着目し、トキソプラズマ感染に対する新しいワクチンの開発を目指す。細胞スクリーニング法による免疫刺激型抗原の同定、プロテオームによる自然感染動物で認識される感染認識抗原の同定を進め、これら抗原を組み合わせたカクテルワクチンの開発を進める。さらに、遺伝子破壊原虫の解析で新規ワクチン抗原の機能を理解し、小型反芻獣への感染実験を通じて新規ワクチンの効果と防御免疫反応の詳細を明らかにする。これまでに以下の研究課題を実施した。 【モンゴル原虫株の病原性解析とワクチン用抗原の機能解析】新型コロナウイルスの感染拡大によりモンゴルでの移動制限の影響により、モンゴル原虫株の分離に至っていない。その対応策として、令和5年5月から8月にモンゴル側研究者を招聘して実験技術の指導を行い、トキソプラズマ実験標準株のモンゴルへの輸出を行った。モンゴル側研究機関のモンゴル生命科学大学・獣医学研究所で原虫培養の立ち上げに成功した。これまでに同定したワクチン抗原TgGRA7, TgGRA14, TgGRA15について、ビタミンEと脂質ナノ粒子を使用したDNAワクチンを作製した。それぞれのDNAワクチンの単独投与で感染防御効果を確認したが、3種混合ワクチンとすることで感染防御効果が有意に上昇した。また、TgGRA15については、組換えタンパク質の単独免疫で感染防御効果を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大によりモンゴルでの移動制限の影響により、モンゴル原虫株の分離に至っていない。その対応策として、令和5年5月から8月にモンゴル側研究者を招聘して実験技術の指導を行い、トキソプラズマ実験標準株のモンゴルへの輸出を行った。モンゴル側研究機関のモンゴル生命科学大学・獣医学研究所で原虫培養の立ち上げに成功した。これにより、モンゴルでの小型反芻獣を用いたトキソプラズマの感染実験の準備を開始できる体制が整った。 これまでに同定したワクチン抗原TgGRA7, TgGRA14, TgGRA15について、ビタミンEと脂質ナノ粒子を使用したDNAワクチンを作製した。マウスに対し10μg DNAワクチンを2週間間隔で3回皮下接種した。TgGRA14, TgGRA15のDNAワクチン接種により、抗原特異的な抗体産生を確認した。その後、トキソプラズマの攻撃感染を行い、感染後30日のマウス生存率は、TgGRA7 DNA:30%、 TgGRA14 DNA:10%、TgGRA15 DNA:20%、コントロール:0%であり、それぞれのDNAワクチンの単独投与で感染防御効果を確認した。次に、3種混合ワクチンの効果を確認したところ、感染後30日のマウス生存率は、3種混合DNA:80%、コントロール:0%であり、感染防御効果が有意に上昇した。生存マウスについては、脳内への原虫伝搬も抑制されていた。また、TgGRA15については、組換えタンパク質を作製し、10 pmolワクチンを2週間間隔で3回皮下接種した。その後、トキソプラズマの攻撃感染を行い、感染後50日のマウス生存率は、ワクチン接種群:66.7%、コントロール:16.7%であり、有意な感染防御効果を確認した。 以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は以下の研究課題を実施する。 ワクチン用抗原の免疫活性化能の解析:これまでに同定した抗原を対象に、マウスで抗原特異的抗体産生とT細胞の活性化を指標にした 抗原の接種経路(皮下、筋肉)、接種回数(1~3回)、接種量(1, 10, 100 μg/kg体重)を最適化する。最適化した条件で免疫したマウスに対し、原虫攻撃試験を行う。非妊娠および妊 娠マウスを用いて臨床症状(虚脱、神経症状、毛の逆立ち)、生存率、出産率、脳組織内原 虫数を測定し、ワクチン効果を総合的に評価する。抗原の単独および組み合わせ投与により 優れた免疫条件を決定する。 モンゴル獣医学研究所の大型動物感染施設において、マウス実験系で確立した免疫条件についてヒツジある いはヤギの免疫実験を実施する(各5頭)。経時的に血液を採材し、血液生化学検査、血球 細胞と抗体産生の解析を行い、安全性と免疫誘導能を検証し、接種回数を決定する。
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