Project/Area Number |
20KK0211
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 57:Oral science and related fields
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
片桐 綾乃 大阪大学, 大学院歯学研究科, 講師 (40731899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 祥夫 大阪大学, 大学院歯学研究科, 招へい教員 (50880118)
加藤 隆史 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (50367520)
岩田 幸一 日本大学, 歯学部, 特任教授 (60160115)
毛利 育子 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 准教授 (70399351)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2020: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
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Keywords | 口腔顔面痛 / 睡眠障害 / 睡眠時無呼吸 / 睡眠時間歇的低酸素負荷 / 痛覚過敏 / メカニカルアロディニア / 間歇的低酸素 / 機械アロディニア / オレキシン / TRPV1 / 性差 / 視床下部 |
Outline of Research at the Start |
口腔顔面痛と睡眠障害は負のループを形成し、互いが慢性化の原因となる。口腔顔面痛および睡眠障害は、その罹患率に性差が存在する。すなわち、基礎研究においても性差の考慮が重要となる。 視床下部で産生されるオレキシンは、鎮痛作用および睡眠・覚醒調節作用を持ち、雌雄で機能が異なる。また、咀嚼や味覚刺激といった口腔機能の活用は、内因性カンナビノイドの合成を促進する。そこで、内因性カンナビノイドが視床下部オレキシン産生を促し、薬剤を使用することなく、口腔顔面痛と睡眠障害の悪循環を遮断する脳内メカニズムを立証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、口腔顔面痛と睡眠障害(特に睡眠時無呼吸)が負のループを形成し、互いの慢性化および重篤化を引き起こす神経学的メカニズムを解明することである。2023年度は、睡眠時無呼吸症候群モデル動物に認められる舌・口唇のメカニカルアロディニアの発症における、上行性伝達経路でのカルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide: CGRP)の関与について誌上発表した(Katagiri et al. Sleep 2024)。以下に詳細を記す。 ラットの睡眠時間帯である明期に、密閉チャンバー中の酸素濃度を6分おきに5%に低下させる間歇的低酸素状態を負荷することで、睡眠時無呼吸症候群モデルを作成した。睡眠時無呼吸症候群モデルラットは、舌・口唇への機械刺激対し、疼痛閾値の低下、すなわちメカニカルアロディニアを呈した。なお、自由行動下でのメカニカルアロディニアを評価するために、2瓶選択法を応用し、給水瓶の飲み口に侵害刺激とはならない機械刺激を与えるファイバーを設置する方法を開発した。睡眠時無呼吸症候群モデルラットの三叉神経節細胞では、CGRP発現と活性型サテライトグリア細胞の発現増加が認められた。さらに、CGRP陽性神経線維の三叉神経脊髄路核尾側亜核表層への投射、および三叉神経脊髄路核尾側亜核表層に存在する二次ニューロンの興奮性増加が確認された。そこで、三叉神経節にCGRP受容体アンタゴニストを直接投与すると、三叉神経節および三叉神経脊髄路核尾側亜核表層における上記の変化が抑制され、メカニカルアロディニアの症状が緩和した。すなわち、睡眠時間帯の間歇的低酸素状態は、侵害情報上行路におけるCGRPを介した伝達経路の異常により、口腔顔面領域のメカニカルアロディニアを惹起することが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
卵巣除去雌性動物の性周期コントロール法確立が遅れているが、代替として性ホルモンを投与した卵巣除去雌性動物を用いた研究を進めている。卵巣除去雌性ラットに睡眠時間帯の間歇的低酸素状態を負荷すると、雄性ラットと同様に口腔顔面痛の発症および三叉神経脊髄路核尾側亜核表層における二次ニューロンの興奮性増大が認められた。この結果については、2024年度中に誌上発表する予定である。 また、University of MinnesotaのProfessor Breiterとは、適宜、オンラインにて、研究の進捗報告および情報交換を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策-1:睡眠時無呼吸症候群モデル動物に発症する感覚過敏やアロディニアに対する治療的または発症予防的な処置として、口腔機能に関する適切な運動を想定している。睡眠時間帯に低酸素負荷を継続している期間において、口腔機能に関する適切な運動を実施させると、口腔顔面領域の感覚過敏が緩和され、かつ三叉神経脊髄路核尾側亜核表層に存在する二次ニューロンの興奮性が抑制されることを見出している。この運動中に脳内で活性化または増加する神経伝達物質の同定、さらに運動が鎮痛作用を発揮する神経学的なメカニズムを、行動薬理学的、電気生理学的手法を用いて解明していく。 今後の研究推進方策-2:睡眠時間帯の間歇的低酸素負荷により発症する口腔顔面痛と、口腔顔面領域の神経障害性疼痛および炎症性疼痛を比較し、発症および増悪に関与する末梢および中枢神経機序が異なることを確認している。そこで、口腔顔面領域の神経障害性疼痛モデルおよび炎症性疼痛モデルにおいて、睡眠ステージの割合を変化させる要因を見出し、疼痛と睡眠の相互作用による両者の増悪機序の解明を目指す。
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