Project/Area Number |
20KK0241
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 63:Environmental analyses and evaluation and related fields
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
大橋 瑞江 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (30453153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 いず貴 (井手いず貴) 兵庫県立大学, 環境人間学部, 客員研究員(研究員) (40831194)
西村 裕志 京都大学, 生存圏研究所, 特定准教授 (50553989)
井手 淳一郎 公立千歳科学技術大学, 理工学部, 准教授 (70606756)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 泥炭 / 溶存有機物 / 質量分析 / 森林管理 / フィンランド / 根滲出物 / 森林施業 / DOM / FT-ICR MS / Peat / Priming Effect |
Outline of Research at the Start |
北緯66度以北に広がる周極域北方林の土壌には、膨大な量の炭素が数千年に亘って泥炭 (Peat)として蓄積されており、地球温暖化の防止に貢献している。Peatの分解は溶存性の易分解性DOMが土壌微生物活動のプライミング効果を引き起こすことで進行する。北方林におけるPeatの分解をもたらす有機物について分子レベルで明らかにした例は見られない。そこで本研究は、フィンランド北方林のPeatの分解機構と、その結果流出するDOMの変遷を分子レベルで解明する。そのため、超高性能質量分析器FT-ICR MSを用いて泥炭土壌に流入するDOM分子を同定する。
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Outline of Annual Research Achievements |
北緯66度以北に広がる周極域北方林の土壌には、膨大な量の炭素が数千年に亘って泥炭 (Peat)として蓄積されており、地球温暖化の防止に貢献している。Peatの分解は溶存性の易分解性DOMが土壌微生物活動のプライミング効果を引き起こすことで進行する。北方林におけるPeatの分解をもたらす有機物についてその起源を明らかにした例は見られない。そこで本研究は、プライミング効果の原因物質として、樹木の根が生産する滲出物に着目し、フィンランド北方林のPeatの分解機構と、その結果流出するDOMの変遷を解明することを目的とする。本年度は、①樹木の地下部から採取した有機物の分子組成を計測するための条件検討と、②根の滲出物と根の特性との関連性についての解析を行った。 ①については、野外に生育するアカエゾマツ成木の細根からシリンジ法を用いて採取した根滲出物を、質量分析の一種であるFT-ICR MSで分析するための条件検討を行った。その結果、天然水を質量分析した場合と異なり、根の滲出物の場合は、適切なピークを得るために独自のパラメータ設定を必要となることが分かった。また、分解実験に供した根の滲出物のサンプルについては、事前にサンプルのTOC濃度を同一レベルに調整することや、夾雑物を取り除くためのろ過を分析機にい投入する直前に行うなど、特別な前処理を施すr必要があることなどが判明した。 ②については、採取した根系についてスキャンした後に、専用ソフトウェアで形態解析を行った。その結果、根の滲出物の炭素濃度は根量が増加するにつれて増加することが示された。さらに根の形態指標のいくつかについても、炭素濃度と有意な相関関係があることが見出されたことから、滲出物の動態を決める樹木の生理要因について、新しい知見を得ることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1) フィンランド側参加者から根の形態データについての提供があり、滲出物のデータと併せて統計解析を行うことができた。今後はさらに、質量分析の結果と併せて統計解析していく必要がある。 (2) 海外渡航が可能となった。フィンランド側の質量分析の専門家と、根の滲出物の分析方法について、複数回の検討を重ね、パラメータ調整の必要性について合意することができた。しかし、実際のスペクトルデータを得るところまではいかなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の3つの方針を立てている。 (1) 根の滲出物に含まれる溶存有機物の分析パラメータを決定する。フィンランドから専門家を日本に招聘し、実際に質量分析器を用いた実験を合同で行うことで、根の滲出物に対して最も適切なパラメータセットを確定する。さらに分解実験による分子組成の変化を評価できるよう、サンプルのTOC濃度の事前計測および、濃度に合わせたサンプル調整を、質量分析の前処理として加える。その後、根の滲出物の各分子について、分子式の割り当てを行る。この割り当ての方法については、従来の専用ソフトに加えて、フリーソフトの活用についても検討する。割り当てられた分子式については、炭素、水素、酸素原子数の比から、機能群のグルーピングを行う。グルーピングは、これまでに開発してきたプログラムコードを活用し、手作業で費やす時間の短縮化を図る。また、新たなプログラムとして、複数のサンプルについて同一の分子式を持つケースを抽出するなど、効率的なデータ処理を実施できるものを開発する。 (2) 根の滲出物のより正確な採取法について、実生苗と小型シリンジを用いた検討を行う。特にコンタミのリスク評価、設置時間の影響などを評価する。従来のフィリップス法を簡素化し、シリンジの設置時間を短縮化することで、分子レベルでのコンタミを減らす工夫を行う。
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