Project/Area Number |
20KK0247
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 64:Environmental conservation measure and related fields
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Research Institution | Chuo University (2022) The University of Tokyo (2020-2021) |
Principal Investigator |
古米 弘明 中央大学, 研究開発機構, 機構教授 (40173546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 可穂子 中央大学, 商学部, 教授 (20345416)
二瓶 泰雄 東京理科大学, 理工学部土木工学科, 教授 (60262268)
比嘉 紘士 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (60770708)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
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Keywords | 海洋プラスチック / 東南アジア / マングローブ林 / 画像解析 / 二枚貝 / 微量汚染物質 / AI画像解析 / 海洋プラスチック汚染 |
Outline of Research at the Start |
プラスチックゴミ問題を抱えるマレーシアの沿岸域におけるマングローブ林に焦点を当てて、プラスチックゴミの主発生源となる市街地から流出、河川を通じた流下と流下過程での変換、マングローブへの輸送・蓄積、マイクロプラスチック(MPs)による毒性影響評価に関する研究を実施する。その際、定点観測カメラやUAV空撮による画像に加えて衛星画像を取得して、プラスチックごみの輸送や存在状況を把握するモニタリング技術の開発を試みる。また、マングローブ生態系における二枚貝の環境浄化機能、MPs付着の薬剤耐性細菌群集解析,MPs汚染による毒性影響評価、太陽光を利用する光触媒作用による効果的な環境修復処理技術も検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
1.現地調査と衛星画像によるプラスチック汚染実態評価:2022年9月にKlang河口域とマングローブ林の現地踏査を行い、市街地から河口域までのプラスチック汚染実態を写真撮影にて記録した。また、定点カメラでの観測、ドローンによる写真測量調査、現地サンプリングを実施した。また、相模湾沿岸域の衛星画像を活用することで、数十mオーダーのプラスチックゴミ群の検出は可能であることが確認できた。 2.河口域におけるプラスチックゴミの蓄積量と存在量の評価:マングローブ林周辺において、高度10mでのNIRとVISカメラを装着したドローン飛行で画像を取得した。そして、近赤外を含む3バンド画像解析によるプラスチックごみ検出手法を適用した結果、汚れの少ないプラスチックゴミは検出可能であったが、泥などが付着した汚れたプラスチックゴミに関しては検出感度が低いことが判明した。 3.市街地から河口域へのプラスチック輸送量の評価:橋2か所に設置した定点カメラで数日間取得した画像を用いて、日中の太陽照度変化を考慮した浮遊ゴミ検出モデルを開発した.また、街灯の光量を利用することで夜間画像からも浮遊ゴミの検出が可能であることが確認できた。 4.マングローブ林などに生息する二枚貝のMP汚染調査:マングローブ林等に生息する二枚貝を入手して、形態別のMP存在量を調査した。また、河川のプラスチックゴミに付着しているバイオフィルム中の細菌を分離して、それらの薬剤耐性特性の分析に着手した。 5.光触媒反応によるMPsの劣化と吸着微量有機化学物質の分解:数種のMPを対象として、異なる紫外線波長におけるAOPプロセスによる劣化状態を、実体顕微鏡、フーリエ変換赤外分光法-減衰全反射、および X 線光電子分光法などで分析した。また、プラスチックからの浸出液のTOC濃度増加と3 次元励起蛍光スペクトルを得て、劣化状態との関係を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年9月に、研究対象であるKlang川の市街地から河口域までの踏査と現地調査を日本人研究者により実施できた。滞在期間中に、現地でのサンプリング、ドローンによる写真測量調査、2箇所の橋に設置した定点カメラの設置を行うことができた。NIRカメラを搭載したドローン撮影で入手可能な近赤外を含む3バンド画像の解析により、プラスチックごみの検出が可能であった。また、定点カメラ画像から日中だけでなく夜間においても河川に浮遊するゴミ検出するモデル開発できた。ドローン操縦の研修を現地で実施して、河口域での定期的なドローン調査の準備を進めた。しかしながら、現地当局から定点カメラの継続的な設置、市街地でのドローン調査、さらには河口域における継続的なドローンによる写真測量の許可が得られないことから、日本人研究者が現地訪問した場合においてのみしか実施できない状況である。 マングローブにおける二枚貝からのマイクロプラスチック回収とその定量は着実に進行している。しかし、マレーシア大学と連携して実施予定であった、二枚貝内のマイクロプラスチックから病原菌を調査する内容から、河川のプラスチックゴミに付着しているバイオフィルム中の細菌を分析する内容へ変更した。現在はフィールド調査地から採取した様々なプラスチックゴミのバイオフィルムから細菌を分離して、薬剤耐性特性などを調査中である。 3種類の代表的なプラスチックを対象として促進酸化プロセスにおけるプラスチックの劣化に関する実験研究は、シンガポール国立大学において着実に進展している。プラスチックの劣化過程における医薬品類の吸着過程と分解過程を評価する予備実験も開始されており、プラスチックの劣化プロセスと医薬品類の吸着・分解現象を関連付けた検討が進められる予定である。 以上のように、一部当初計画から変更を余儀なくされているものの、研究進捗はほぼ順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
現地における継続的なドローン調査の許可が得られないことから、日本人研究者が現地訪問した場合において、より多くの多様な画像情報を入手することを検討する。そのため、マングローブ林はないものの国内の都市河川河口域におけるプラスチックゴミ調査を実施することも検討する。 定点カメラ観測は、現地設置許可を得ることで連続観測可能であることが判明した。カメラ画像解析では、日中の浮遊ゴミ検出においては鏡面反射光の除去が課題として挙げられることから、太陽天頂角を考慮した解析手法やニューラルネットワークベースの除去手法を検討することを検討する。また、カメラ撮影の向き・角度の調整も検討する予定である。夜間撮影では,カメラ設置箇所の位置によって光量不足が課題であることがわかったため,カメラ付近における光源の設置等の検討を進める予定である。 二枚貝中のMP汚染評価については、大型二枚貝等を市場で入手して汚染実態調査を継続する。また、プラスチックゴミのバイオフィルムから分離した細菌の純粋培養を進め、DNAを抽出して16SrDNAのシークエンス分析から分離菌の同定を行う。その結果から、バイオフィルム中にどのような菌が付着しているのか明らかにする。また、薬剤耐性が高い細菌については、その薬剤耐性遺伝子などの詳細も明らかにする予定である。 促進酸化プロセスにおけるプラスチックの劣化と医薬品類の分解過程を評価する実験を本格的に実施して、劣化プラスチックへの医薬品類の吸着と分解現象を関連付けた検討が進める予定である。 過去の研究成果も整ってきたことから、2023年3月に構築した研究プロジェクトのホームページへの最新成果の追加などの充実を行い、研究成果の公表に努める。最終年度であることから、2024年2月末か3月上旬に東京にて研究プロジェクトに関する国際シンポジウムを開催予定である。
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