Project/Area Number |
20KK0250
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 90:Biomedical engineering and related fields
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲波 修 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (10193559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 博宣 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (10570228)
永根 大幹 麻布大学, 獣医学部, 講師 (10772064)
山下 匡 麻布大学, 獣医学部, 教授 (30220338)
赤羽 英夫 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (00552077)
藤井 博匡 北海道医療大学, その他, 客員教授 (70209013)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | がん診断 / 低酸素性がん細胞 / 組織酸素濃度 / 電子スピン共鳴法 / OxyChip |
Outline of Research at the Start |
固形がんは外科、制がん剤や放射線による処置後の予後因子として酸素濃度は重要な因子の1つである。10 mmHgより酸素分圧の低いがんでは予後が悪く、それより大きいと治療効果が期待できるとの報告が多くの移植固形がんで報告されている。しかし、簡便に医療・獣医療で利用可能な方法はない。そこで本研究では治療予測のための新しい独自技術を開発することを目的とし、ベッドサイド利用可能な小型ESR測定装置を開発し、酸素測定プローブを組み合わせた技術開発を進め、培養細胞レベル、移植腫瘍モデルさらには獣医臨床レベルで検証する。そのために、本国際共同研究を展開する。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は分担者の赤羽、藤井らによって開発・導入した可搬型ESR装置を用いて、北大では担癌マウスがん組織のレドックスイメージングを、麻布大ではがん組織の酸素濃度の推移を計測する技術を確立し、放射線照射後に腫瘍組織のレドックスレベルの低下とオートラジオグラフィーによる糖代謝との間の相関関係が照射によって大きく崩れることをあきらかにした。レドックスイメージングでは機器の可搬性を生かして、北大全学共同利用のアイソトープ施設に持ち込みFDGによる糖代謝とレドックスイメージングの同時測定のプレリミナリーな実験ではあるが、そのトライアルを行い方法論の開発にも目処が立った段階である。また酸素濃度計測では自作したOxychipを用いて正常組織および腫瘍組織の測定も開始しているマウス乳がんモデルを作成し、腫瘍免疫を活性化させる薬剤を処理すると腫瘍体積の縮小と生存期間の延長が観察されたが、組織酸素分圧に変動は観察されなかった。これまでの研究により、X線照射や細胞障害性のある抗がん剤は腫瘍内酸素分圧を上昇させることが明らかになっている。そのため免疫チェックポイント阻害剤など腫瘍免疫活性化療法に対し、腫瘍内酸素分圧による効果予測は困難であることが示唆された。本研究では北大と麻布大の大学院生・学部学生が深く関わっており、令和4年度はコロナ禍が一旦落ち着いた時期に麻布大学の研究者志望の学部女子学生(獣医学科5年次)を2022年9月10日から9月27日まで海外カウンターパートのダートマス大学に派遣することができた。その際に派遣学生はダートマス大学ではPDMS封入酸素感受性ESRプローブ(Oxychip)の作成方法を習得すると共に、そのキャリブレーション法についても習得した。また、コロナ禍の中でも国内での学会発表が主ではあるが、数多くの大学院生や学生発表を行う事ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度もコロナ禍ではあったが、やや緩傾向が出てきた中で、本研究のカウンターパートのダートマス大学のクプサミー研究室に17日間の日程で派遣し、国際共同研究として持続的に研究を進める事ができるようになった。また、オキシチップの作成法など新技術を麻布大でも作成可能となり、今後の研究の遂行に重要な技術を導入することが出来た。また、本研究において可搬型ESR装置の導入が重要で大きな力を発揮しており、北大ではPETイメージングとレドックスイメージング、麻布大学では乳癌組織の組織酸素濃度測定のプレリミナリーな実験を開始しており、令和5年度の最終年度に向けてベッドサイド小型ESR装置の癌の酸素代謝機能評価研究に向かって順調に進んでいる。研究の成果としては放射線によるがんのレドックス制御の再評価を現在検討しており、グルコース代謝との相関についての治験についてはまだ、結論づけられる段階ではないが、試み自体は新しいがん代謝に対する考え方を提示できると思っている。また、いくつかの成果については学生、大学院生が学会発表を行っており、今後の論文化に繋げることができる。研究者の育成という観点からも順調であると言える。以上の進捗状況から、ほぼ概ね順調に進捗していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度はコロナ禍のもだいぶ落ち着き、緩和されてきたので米国ダートマス大学への研究者と学生の米国との共同研究(学生、大学院生と共に渡米して実験結果やプローブ合成や測定法の検討)や研究打合せ、学会発表のための渡航を出来るだけ行う事を考えている。半月から1ヶ月程度の長期の研究交流については令和5年度は北大から大学院生を最低1名派遣する予定である。しかし、もし仮にコロナ禍再燃のため不可能あるいは回数や人数が制限される状況になってしまう場合は、その代わりに大坂大学とのESR測定のための若手研究者の技術開発のの共同研究に重点をおく。すでに開発されている可搬型小型ESRイメージング装置については、さらにその可搬性と高解像度である機器が望まれるので、そのための技術開発を赤羽、藤井らグループと動物実験を並行で進めながら行う予定である。この技術開発は将来、ベットサイドで利用可能なプロトタイプとなることを目指す。また、北大と麻布大ではアイソトープ利用施設での準備も整いPETイメージングとレドックスイメージングによる多面的な代謝イメージングのシステムならびにサーフェイスコイルによる経時的組織酸素経時的測定システムが小動物モデルで確立したことから、令和5年度は最終年度であり、最終年度は本格的にアイソトープによる糖代謝やアミノ酸代謝、低酸素領域とESRによるレドックスイメージングと酸素濃度計測を同一個体の動物を対象として測定方法を確立する。更に、マウスでの実験動物だけでなく、ラット、ウサギ、イヌなど中動物の腫瘍の形状、サイズに合わせたOxyChip ESRによる酸素分圧測定技術を構築することを目的として研究を進め、当初の目的である各種の移植腫瘍や代謝疾患の悪性度や予後判定の臨床検査ツールを開発することを目指す。
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