Project/Area Number |
20KK0266
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (A))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022-2023) Osaka City University (2020-2021) |
Principal Investigator |
上野 雅由樹 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (10709538)
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Project Period (FY) |
2021 – 2024
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥13,520,000 (Direct Cost: ¥10,400,000、Indirect Cost: ¥3,120,000)
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Keywords | オスマン帝国 / イスタンブル / 都市社会史 / アルメニア人 / 非ムスリム / 都市社会 / 多文化社会 |
Outline of Research at the Start |
オスマン帝都イスタンブルは、帝国の縮図として、宗教や言語、民族の面で様々な人々が暮らす近世・近代の巨大都市だった。本研究は、都市社会史の観点から、19世紀におけるオスマン帝国の近代国家化がイスタンブルに居住した様々な宗派集団間の関係にどのような影響を及ぼしたのかを検討する。国際共同研究によって可能となる膨大な一次史料の継続的な調査を通じて、宗派集団間の小規模な対立や協力関係を掘り起こし、それらが調整される過程を検討することで社会関係を浮かび上がらせることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
オスマン帝都イスタンブルは、その人口の半数ほどを占めたムスリムに加え、正教会やアルメニア教会の信徒、ユダヤ教徒など、宗教・宗派の面で多様な人々を内包していた。本研究課題は、これら多様な宗派集団間の横の関係に注目し、既存の研究が注目してきた帝国と各宗派集団との縦の関係と組み合わせることで、イスタンブルの都市社会のあり方を立体的に把握することを目的としている。これにより本研究は、近世から近代への移行期において多文化社会がどのように機能し、また変化していったのかを理解するための手がかりを提供することを目指している。こうした目的を達成するために、本研究では、ボアジチ大学のヤシャル・トルガ・ジョラ氏と共同研究を行い、2023年度においては氏の協力のもと、前年度から引き続きイスタンブルに滞在して大統領府オスマン文書館やボアジチ大学にて研究を進めた。これにより、19世紀のイスタンブルにおける非ムスリムの状況、とりわけ1820年代のギリシア独立戦争がイスタンブルの様々な非ムスリム集団に及ぼした影響や、非ムスリムをめぐる用語法に関して、これまで知られてこなかった数多くの有益な新史料を発見することができた。その成果の一端は、2023年12月に開催された九州史学会大会イスラム文明学部会にて発表したほか、2024年1月にジョラ氏を日本に招へいして大阪公立大学で開催した研究会でも報告し、そのうち前者の内容に関しては英語で学術論文としてまとめつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題では、2022年度から引き続きイスタンブルで研究を進め、特にオスマン帝国の行政文書を集中して調査することができた。そのなかでは、1820年代のギリシア人の反乱が他の非ムスリムの処遇に与えた影響、特にラテン臣民やアルメニア人カトリック改宗者の処遇、さらに19世紀を通じてみられた非ムスリムをめぐる用語法の変化などについて、当初の想定を大きく上回る有益な史料を見つけることができた。しかし、丁寧に読解すべき史料が大量に見つかったこと、また関連して調べるべき二次文献が大幅に増大したことで、成果の取りまとめには想定以上の時間がかかることになった。こうした事情により、本研究課題で行うことを計画していた論文の発表が遅れてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、本研究課題では、イスタンブルで行った史料調査から予想以上に有益な結果が得られた。その成果の一部は学会発表という形で発表することができているが、論文としてまとめるにあたって精度を上げるためにはさらなる史料の精読と二次文献の調査が必要であり、成果の取りまとめに時間がかかっている。そのため、研究期間を延長し、2024年度には前年度に終えることができなかった成果の取りまとめ、具体的には英語での論文執筆を進める予定である。
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