固体材料の微小重力環境における燃焼性予測手法の汎用化および微小重力実験による検証
Project/Area Number |
20KK0328
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (A))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 19020:Thermal engineering-related
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小林 芳成 岐阜大学, 工学部, 准教授 (00827016)
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Project Period (FY) |
2021 – 2024
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥9,230,000 (Direct Cost: ¥7,100,000、Indirect Cost: ¥2,130,000)
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Keywords | 炭素繊維強化プラスチック / 燃え拡がり / 炭素繊維配合方向 / 熱的異方性 / 限界酸素濃度 / 燃焼性予測 / 固体材料 / 微小重力環境 |
Outline of Research at the Start |
材料の物性および地上での燃え拡がり試験の結果から,宇宙のような微小重力環境での固体材料の燃焼性を定量予測する手法が提案されている.しかし,それはポリマーのような均質で等方な材料を想定しているため,複数の素材から成る複合材料や異方性を有する材料には適用できない.そこで,様々な材料の燃焼性を予測できるようにするため,材料の異方性を考慮した燃え拡がりモデルを作成し,それをもとに予測手法を再構築する.そして,独ブレーメン大学の落下塔を利用して微小重力実験を行い,改良した予測手法の精度検証および高精度化を図る.これにより,材料に依らない汎用な固体材料の燃焼性予測手法の確立を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)燃え拡がりモデルをもとに算出したCFRPの限界酸素濃度(LOC)が実験値と定量的に一致しなかったため,本年度はまだ十分に検討・モデル化できていなかった「火炎長さ」および「固相内温度分布」にアプローチした.火炎長さについては,火炎周囲における滞留や拡散の時間スケールを考えることでモデル式を導出した.CFRP内の温度分布は,赤外線カメラによって表面温度プロファイルを取得し,それを参考に模擬温度プロファイルを作成した.これら2つをCFRP燃え拡がりモデルに組み込み再度LOCを算出したところ,実験値との乖離は昨年度よりも軽減された.ただし,より正確なLOCの予測には燃え拡がりモデルの更なる改良が必要と思われる.また本年度は,1 m/s以上の高流速下でのCFRP対向流燃え拡がり試験も行った.高流速下では,消炎挙動が数十cm/s程度の低流速の場合と異なることが分かった.低流速下では火炎が徐々に収縮して消炎するのに対し,高流速下では火炎形状はそのままに一瞬で吹き消える様子が観察された.前者はエネルギーバランスが崩れたことに因る消炎,そして後者は滞留時間と化学反応時間が同等になったことで生じる“吹き飛び消炎”と推察される.これまでCFRP燃え拡がりモデルで予測してきたLOCは低流速域におけるものであるため,高流速域のLOCを予測するにはそれとは異なるアプローチが必要だと考えられた.そこで,滞留時間と化学反応時間の比であるダムケラー数(Da)を導入し,Da = 1となる時に吹き飛び消炎が生じるという仮定のもと,その方程式を解くことで高流速域におけるLOCを算出した.こちらのLOCは実験値と定量的に一致したため,高流速域については本手法でLOCを正確に予測することができると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
渡航先外国機関の実験スケジュールの都合により本年度も渡航は叶わなかったが,国内において研究を着実に遂行できており,炭素繊維強化プラスチックの限界酸素濃度を定量的に予測できつつあるため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度予測精度を向上させた低流速域における限界酸素濃度(LOC)予測手法と,ダムケラー数を含む方程式を解くことで求める高流速域におけるLOC予測手法の2つを統合することで,流速域を選ばない全流速範囲に適用可能なLOC予測手法の構築を目指す.具体的には,CFRP燃え拡がりモデルをもとに導出したエネルギーバランス式に,ダムケラー数の効果(=吹き飛び消炎の影響)を含めることで,LOCを解析的に求める方程式を新たに導出する.この方程式を解くことで,重力レベルの低い微小重力環境でしか実現されない数cm/sの超低流速域におけるLOCも予測することが可能になる.これの検証は,来年度実施予定の独ブレーメン大学での微小重力燃焼実験により行う.一方で,地上の通常重力環境で再現可能な~30 cm/s以上の流速域におけるLOCについては,これまでに取得したデータをもとに検証することができる.
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Report
(3 results)
Research Products
(11 results)