Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
本研究の月的は,左右眼網膜像の違いが空間認識及び頭部・眼球運動制御に果たす役割を明らかにすることである.具体的には,垂直および水平視差の分布及びその動的な変化と,知覚的方位と奥行き,左右方向の頭部・眼球運動を中心とした行動応答との関係を実験的手法により定量的に明らかにし,それらの関係をモデル化することを目標としている.平成22年度においては,静的な両眼視差を持つ刺激に対する応答のみならず,動的に変化する刺激を観察した際の,頭部運動を計測しその影響を検討した.その結果,垂直視差の変動に伴って観察者の頭部が水平方向に無意識的に回転する場合があることが明らかになった.この結果は,他に類する報告がなく非常に新規性が高く,視差処理過程の解明において非常に重要な知見であると言える.この成果は,国内学会1件(口頭発表)で発表した.現段階においては,頭部運動を生起させる視差の条件が明確になっておらず,条件を変化させて引き続き研究を続けている.また,関連する視差パターンと知覚的奥行きの関連についての研究を行い国内雑誌に査読付原著論文(2件)として発表した.さらに,広い視野中での運動により生起される身体動揺と知覚との関連を調べた研究(1件)を国内学会で口頭発表した.この研究は両眼視差変化による行動応答と動きによる行動応答を分離するためのコントロール実験としての役割がある. 本研究より,垂直視差が知覚のみならず無意識的な行動応答を引き起こすことが明らかになった.この結果は,基礎的な新規性が高いだけでなく,3Dディスプレイの開発,評価などの工学的な場面においても意義があるものと考えられる.
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