iPS細胞分化による神経疾患の原因遺伝子同定手法の開発
Project/Area Number |
21650087
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Nerve anatomy/Neuropathology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊達 英俊 (2010) 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (30401037)
福田 陽子 (2009) The University of Tokyo, 医学部付属病院, 特任助教 (60396744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 祐二 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00372392)
伊達 英俊 東京大学, 医学部付属病院, 特任助教 (30401037)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | iPS細胞 / 連鎖解析 / 遺伝子同定 / 神経疾患 |
Research Abstract |
本研究は、一家系では絞り込めない遺伝性疾患の原因遺伝子を患者由来iPS細胞から疾患部位細胞へ誘導し、その発現情報から疾患遺伝子を同定する手法を開発することである。近年、シークエンス技術の進歩により、一個人の全ゲノム配列を読むことが可能となった。実際、エクソームだけでも、膨大な塩基変化を見つけることができる。しかし、連鎖解析から得られた候補領域上に塩基変化が見つかっても、その解析家系が一家系の場合では、それが疾患を誘発している変異なのか、きわめて稀なSNPなのか判別することが不可能である。本研究開発では、患者由来細胞をiPS化、疾患部位細胞へ誘導し、発現プロファイリング等から疾患細胞の表現形を見つけ、候補遺伝子をウイルス導入することで、正常な表現形に戻すことで、疾患遺伝子を同定することを目的とする。 研究代表者の留学に伴い、研究代表者が変更されたのを機に、対象疾患を神経疾患ではなく、神経筋疾患に対象を広げ、骨格筋と心筋に異常を呈する疾患に対象を変更した。本疾患の報告から20年間類似疾患の報告がなく、これ以上連鎖解析の解像度をあげることができない疾患であり、本研究開発の対象として最適な家系である。本研究開発にあたり、次の3点が重要と考える。1:iPS細胞の樹立、2:iPS細胞の未分化維持、3:目的細胞への高い分化誘導の3点である。1:iPS細胞の樹立に関して、ウイルス導入によるiPS細胞樹立は、ウイルス遺伝子がその細胞のゲノムを傷つける。そのため、その傷の影響は予測できないことが以前より指摘されてきた。そのため、本件では、ウイルスの生活環が核ではなく細胞質のみであるセンダイウイルスを採用した。ディナベック社により開発されたセンダイウイルスベクターは温度感受性となっており、iPS化後38℃で2週間も培養すればウイルスが完全に失活する。このセンダイウイルスの使用により、ゲノムが無傷なiPS細胞が樹立できる。また、iPS細胞を樹立する場合、線維芽細胞で実施するのが一般的であるが、本開発研究では、末梢血から単離したT細胞で行った。これは、患者負担の大幅な軽減が期待される事、および採血時に十分量のT細胞が採取できすぐにウイルス感染することができる点で、線維芽細胞より優っていると考える。まず、全血5mLをFicollによる比重勾配で単核球を分離。ついで、Dynabeads Untouched Human T cellsを用いて、PBMCからT細胞を単離。続いて、Dynabeads Human T-Activator CD3/CD28を用いて、T細胞の表面抗原であるCD3およびCD28に対する抗体を用いてT細胞を刺激・活性化。翌日、T細胞1x105cellsに対してMOI=20で4遺伝子のセンダイウイルスを感染。翌日、培地を交換。感染4日目にMEFを用意。感染5日目にMEF上に1x104cellsのT細胞を再播種。翌日に、DMEM/F12ベースのhiPS培地に交換。2週間後あたりからES様コロニーの出現を観察。コロニー単離用に、6wellplateにMEFを播種。翌日、iPS細胞のdishとコロニーピックアップ用のplateの培地を10uMのY-27632を加えた培地と交換一時間以上incubatorで静置。実体顕微鏡下で27Gの針でコロニーをカットし、4等分以上に分割し、6wellplateに蒔き直す。翌日から毎日培地交換。 ウイルス感染を行いiPS様のコロニーの単離までに一ヶ月弱の期間でiPS化ができる。線維芽細胞からはじめる従来の手法より短期間である。2:iPS細胞の未分化維持に関して、Ying QL 2008 natureを参考に、hiPS培地に0.8uMのPD0325901と3uMのCHIR99021を加えた培地で維持する。3:目的細胞への高い分化誘導に関しては、実体顕微鏡下で拍動細胞を切り出すことで、心筋細胞の純度を100%にする。本研究期間では、健常者末梢血からのiPS細胞の樹立までしか進めることが出来なかった。現在、倫理申請も認可され、患者の同意も得られ、平成23年4月下旬に採血する予定である。初年度は、ラボのP2化や条件検討に大幅に時間がとられ、健常者iPSの樹立のみの成果で終了してしまった。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)