Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本研究は,有機分子に包まれたコア・シェル型半導体量子ドット(QD)を,蛋白質分子の一種である分子シャペロンの変性蛋白質を取り込む機能を用い,生きたままで結合させ,新規なナノ構造物を構築し,そこに期待される新規な相互作用の特異性と普遍性を検証し,能動的で融合的な分子デバイス機能開拓への筋道をつけることである。そのため先ず前年度で,サイズ分布の狭帯化に注力したCdSe/ZnS/TOPO系QDナノ結晶成長技術と,好熱性古細菌由来のPFDとCPN,及び酵母由来のsHspの3種類の分子シャペロンの抽出・精製技術の高度化を進めた。反応と操作を全て緩衝液(i.e.水溶液)中で行う際に,QDの主溶媒をn-ブタノールとし,t-ブタノールを触媒とした手順を見いだし,約5%の結合率を得るに至った。本年度は,Cy5でラベル化した蛋白質を用いて得られた結合体に対し,独自に構築した単一分子計測の手法を適用し,特にQDから例えばCy5-PFDへの共鳴蛍光エネルギー移動(FRET)の検証を目指し,先験的な結果を得た。この目的のために新たに開発した,2波長励起光学系単一分子画像計測による単一FRETスペクトル計測は,他に例を見ないと考える。更に,本QDが2次元遷移双極子の系であり,偏光回転変調法を用いる事により,その3次元配向が抽出できる特徴を生かし,その配向方向に関する動的挙動を100msの時間分解能で追跡する事に成功した。これは,新規な相互作用の特異性と普遍性を検証し,能動的で融合的な分子デバイス機能開拓への着実な一里塚と考える。現在,その時間分解能を更に一桁上げて10msで計測可能にするべく,予備実験を終えて高度化を目指す所にある。分子シャペロンの変性蛋白質の捕捉あるいは修復機能を担う動的特性の特性解明に資すると共に,新規なナノ構造物である蛋白質-半導体QDの展開に資する萌芽を築いた。
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