破片接合状況の詳細観察による動作連鎖の最終局面の理解のための基礎的研究
Project/Area Number |
21652065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Archaeology
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
冨井 眞 京都大学, 文化財総合研究センター, 助教 (00293845)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2010: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2009: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 破損 / 割れ線 / 動作連鎖 / 出土状況 / 縄文土器 / 土師器 / 破壊 / 埋設土器 / 廃棄 |
Research Abstract |
昨年度に観察した個体の出土状況の情報について、資料保管機関に再度赴いて、資料収集をおこなった。その結果、土器内部に土が充満したまま土圧で割れる際の典型である、並行して縦走する複数の<破損幹線>をもつ完形土器が、遺構内で破片が分離した状態で出土する例を、複数の遺構で確認した(寺野東遺跡SK076など)。 こうした<割れ線>の走向特性をもつ個体は埋没以前の環境での通常の破損とは理解し難いので、破片の分離出土という出土状況に鑑み、土器に絡むヒトの動作連鎖の最終段階に、土器を均等に加圧する周到な破損行為(=破壊)があったと推定できる。また、こうした事例によって、土器の上半部が並行縦走の破損幹線のみから成る大型土器片を複数確認できた場合には、土器の破壊がおこなわれていた可能性についても考慮が必要となろう。 土器などの器物の破壊が推測されることの多い古墳時代の埴輪や土器についても、前年度の縄文土器の場合と同様に、自然状態での割れの特性の見極めが重要なので、まず、土器が安置された後に空間が密閉されることになる竪穴式墓坑から出土した資料で、自然状態での割れを検討した。雪野山古墳など、木棺の倒壊などによる弱い衝撃および土圧による破損の場合には、<放射状割れ線>と<同心円状割れ線>の組合せを確認できる場合があり、ホケノ山古墳の様な転落・転倒などによる破損の場合には、破損幹線から派生する<破損枝線>が多くなる傾向にある。これらは、自然状態での比較的弱い衝撃時の土師器の破片化パターンと想定できる。 なお、昨年度に写真撮影を完了した縄文中期~後期の破片接合状況の良好な土器400余点については、遺跡での出土記録も加えて、データ集を作成・刊行した。冊子媒体では部数が限定的なので、データ活用を促進すべく、京都大学学術情報リボジトリ(http://repository.kulib.kyoto-u.acjp/dspace/)にも登録申請をしている。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)